コロナ禍でテレワークの導入が加速する一方、従業員一人ひとりの状態が見えにくくなるなど、マネジメントに不安を感じる管理職が増えてきている。そうした課題を解決させる取り組みとして注目されているのが、セプテーニ・ホールディングスの「個別マネジメントシステム」だ。従業員のコンディションや成長の度合いをレビューシステムによって可視化。一人ひとりに合った施策へと繋げることで、従業員の安全衛生や成長はもちろん、管理職の不安解消やマネジメント力向上にも貢献するという。一体どのような経緯で生まれ、どのように活用されているのか。トライアルで導入を進めているSepteni Japan株式会社 代表取締役社長 清水 雄介氏と株式会社セプテーニ・ホールディングス採用企画部 部長 江崎 修平氏にお話を伺った。

第10回 日本HRチャレンジ大賞『イノベーション賞』

株式会社セプテーニ・ホールディングス

テレワーク環境下においても従業員の安全衛生管理と人材育成を実現する「個別マネジメントシステム」

入社前から現在に至る従業員データに加え、週次のパルスレビューと四半期毎の育成状態レビューにより、従業員の状態とその状態に至る原因を個別かつ定量的に把握することができ、人事データ活用に細心の注意を払いながらテレワーク下でも安全衛生面の把握とともに、個人に合ったマネジメントを実施する仕組みを構築していることが革新的であり、高く評価されました。

プロフィール

  • 清水 雄介 氏

    清水 雄介 氏

    Septeni Japan株式会社
    代表取締役社長

    2006年、株式会社セプテーニに新卒入社。営業職を経て、2014年株式会社セプテーニの執行役員に就任し、営業部門以外の領域においても統括を兼任。2018年よりグループ執行役員および株式会社セプテーニ、Septeni Japan株式会社の代表取締役社長に就任(現任)。
  • 江崎 修平 氏

    江崎 修平 氏

    株式会社セプテーニ・ホールディングス
    採用企画部 部長

    2005年、株式会社セプテーニ・ホールディングスに新卒入社。以来、一貫して人事総務部にて採用・人材育成を担当。2019年、採用企画部部長に就任。現在、人事領域全体を統括。
従業員のコンディションと成長度合いを可視化し、安全衛生管理と人材育成を実現する「個別マネジメントシステム」

従業員一人ひとりのマネジメントが必要になった背景とは

――このたび日本HRチャレンジ大賞を受賞された「個別マネジメントシステム」とは、どのような取り組みでしょうか。

江崎氏:現在私たちが注力している「個別マネジメントシステム」とは、従業員の安全衛生管理と人材育成を個別対応で実現するための仕組みです。具体的には入社前から現在に至るまでの従業員データに加え、週次で行うパルスレビューと四半期ごとに行う育成状態レビューの結果から、従業員一人ひとりのコンディションやその状態に至る原因、成長度合いなどを可視化。もし不調者がいれば早めに検知して専門スタッフと連携を図るなどの体制で、最適な施策を行っていきます。データの利活用にあたっては、独自のデジタルHRガイドラインを定めて、方針・ポリシーを公開し、細心の注意を払って取り組んでいます。

「個別マネジメントシステム」は、テレワークによってコミュニケーションを取る機会が減る中でも、従業員がパフォーマンスを上げて業務をしっかり遂行でき、なおかつ成長もできる体制や環境を整えるための取り組みと言えます。現在はSepteni Japanの複数部門で若手社員を中心にトライアルを実施しています。

――取り組みに至った経緯や背景についてお聞かせください。

清水氏:「個別マネジメントシステム」を開始した直接のきっかけとしては、やはりコロナ禍でテレワークの導入が加速したのと同時に、コミュニケーションの課題が顕在化してきたことが大きかったと思います。特に若手社員をオンボーディングする際、テレワークだけでは適応させるのが難しく、個別でマネジメントできる仕組みを整備することが急務となっていました。ただし、構想そのものは急に立ち上げたものではありません。若手を中心とした人材育成に関しては、従前よりセプテーニグループ全体の注力領域であり、「個別マネジメントシステム」の必要性は数年前からずっと感じていました。

――人材育成に関する課題とは、具体的にどのようなものだったのでしょうか。

清水氏:セプテーニグループは約20年前に現在のデジタルマーケティング事業に当たるインターネット広告事業をスタートしたのですが、現在に至るまでに市場は大きく変わりました。インターネット広告という市場からデジタルマーケティング市場へと拡大し、その重要性は多くの企業様やクライアント様の中で格段に上がってきています。しかし一方で、グループの強みや特徴はそこまで大きく変わっていません。特に人材面では非常にポテンシャルの高い若手を中心に事業を回しています。つまり市場はどんどん成熟へと向かい、重要度や複雑性が増しているのに対し、グループ内では若手人材のボリュームが増しているため、どうしてもそこに開きが生じてしまうというわけなのです。若手人材がいかに早期に専門性を身につけ、習熟度を高められるか。それがここ5年くらいの事業サイドにおける課題感でした。

――従来の教育体制はどのような形になっているのですか。

清水氏:事業会社であるSepteni Japanには、オンボーディングに向けた組織定着、業務に対する職種別のエデュケーションシステムなどが整備されています。しかし変化し続ける市場の中では、それだけでは足りません。今後さらに拡大していくデジタルマーケティング業界において、多種多様な個人を伸ばしつつ、いかにプロフェッショナリズムを発揮できるかが問われていきます。そのためには個別に最適化した教育システムが必要不可欠なのです。今回の「個別マネジメントシステム」は、そうしたビジョンを実現させるためのファーストステップとして、セプテーニ・ホールディングス人事部の全面協力のもと、事業サイドのSepteni Japanが取り組んでいます。

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