HR総研のアンケート調査「人材育成(階層別研修)」集計結果から、今回は「管理職研修」についてレポートする。
「管理職研修」の実施率は、全体で65%であり、従業員数1001名以上の大企業では83%が実施しているが、300名以下の中小企業では半数割れの47%しか実施していない。企業規模が小さくなるほど、リソース不足で研修の実施率が下がる傾向は変わらないようだ。
今回の調査によると、研修の実施方法は、「自社(グループ会社)で実施(内製)」と「外部の研修会社を利用」が、双方ともに33%で同率となった。昨年調査と比べると、内製化の割合がやや増加している傾向だ。
管理職研修について、企業人事が課題を感じていることは何なのか。そして、今後導入を考えている研修内容は何なのか? ぜひご確認いただきたい。

●管理職研修の実施率は大企業では83%、中小では47%

管理職研修を実施について聞いたところ、全体では65%が実施していると回答した。規模別に見ると、従業員数1001名以上規模の大企業では83%が実施している。301~1000名規模の中堅企業では77%が実施しているが、300名以下の中小企業では昨年調査より9ポイント低い47%の実施率となった。小規模ほど、管理職研修を実施していないという傾向は変わらない。

【図表1】管理職研修の実施率

HR総研:人材育成「管理職研修」に関するアンケート調査 結果報告

●研修の実施方法は、内製化がやや増加傾向か

ここからは、「管理職研修を実施している」と回答した企業を対象に質問した。
実施方法は「自社(グループ会社)で実施(内製)」と「外部の研修会社を利用」がともに33%で並び、次いで「内製と外部の研修会社の組み合わせ」(29%)となった。

昨年調査では「外部の研修会社を利用」(38%)、「自社(グループ会社)で実施(内製)」(28%)だったことを考えると、「管理職研修」の実施方法は、「内製化」の方向に進んでいる傾向が見えてくる。ちなみに、「内製と外部の研修会社の組み合わせ」は昨年も29%で変わっていない。

【図表2】管理職研修の実施方法

HR総研:人材育成「管理職研修」に関するアンケート調査 結果報告

●運営上の課題は「実施効果の測定ができていない」がトップ

管理職研修を運営する上での課題を聞いたところ、「実施効果の測定ができていない」(38%)、「受講者の意識」(32%)、「研修メニューの構築・選択が困難」(24%)が上位を占めた。
「実施効果の測定ができていない」と「研修メニューの構築・選択が困難」という課題は、実は連動している。企画・設計、受講者への喚起、研修の実施、効果の測定、次の研修へのフィードバックというPDCAサイクルを回すためには、どうしても「効果の測定」が不可欠だ。成果を上げてこそ、予算もついてくる。

具体的な「効果の測定方法」も併せて聞いてみたところ、「受講時アンケート」(56%)がトップで、次が「レポート」(26%)、残りの施策は20%を下回っており、偏りが見られる。研修は実施することが目的ではなく、研修後の受講者の行動変容が目的であるはすだ。だとすれば、「受講時アンケート」や「レポート」は、その時点での受講者本人の気づきや感想を確認しているだけであり、効果測定方法としてはいささか不十分であると言える。例え気づきを得たとしても、行動が変わらなければ意味はない。他の研修でも同様であるが、研修後に行う「上司へのヒアリング」や「部下へのヒアリング」などにより、行動変容の度合いを効果として見える化することを考える必要があるのではないだろうか。「実施効果の測定が出来ていない」というよりも、現状の「効果測定方法」に課題があるのかもしれない。

【図表3】管理職研修 運営上の課題

HR総研:人材育成「管理職研修」に関するアンケート調査 結果報告

【図表4】管理職研修の効果の測定方法

HR総研:人材育成「管理職研修」に関するアンケート調査 結果報告

●管理職研修の受講生が抱える課題は「部下育成力・コーチング力」が76%でトップ

視点を変えて、研修を受講する管理職が抱える課題について聞いてみた。
課題の上位を占めたのは、「部下育成力・コーチング力」(76%)、「管理職としての役割意識」(62%)、「リーダーシップ」(53%)などである。

以下、フリーコメントのいくつかを抜粋してご紹介する。

・ロジカルシンキングやコンセプチュアルスキル、ビジョン構築力については、根本的な底上げが必要と考えている。新任管理職のスキル向上を図りたいが、既存の管理職の能力との間にギャップを生じてしまう。(メーカー/1001名以上)
・部下の育成力と部下の状況管理力が今後、特に求められていると思う。労働力不足のご時世、離職防止、ストレスによる休職防止が、管理職に求められている。(情報・通信/301~1000名)
・管理職に就きたいという若手が減っていることが問題。法改正等により業務が増え、プレイングマネージャーから抜け出せない状況から、やらなくていいことをやらないという選択をすることが課題。(情報・通信/301~1000名)

プレイングマネージャーを余儀なくされる現場が多い中、会社が求める「管理職としての役割」を認識させ、個人の行動変容から、チームの変容を実現させる管理職の育成が求められているようだ。
では、実際に企業はどのような研修を実施していて、今後どのような研修の導入を考えているのだろうか? 気になる結果は、ログインしてご確認ください。
【図表5】管理職研修の実施において受講者が抱えている課題

HR総研:人材育成「管理職研修」に関するアンケート調査 結果報告

この先は、会員の方だけがご覧いただけます。会員の方はログインを、会員でない方は無料会員登録をお願いします。

HRプロ会員の方はこちらから

まだ会員でない方はこちらから

登録無料!会員登録された方全員に、特典資料をプレゼント!

HRプロとは

【調査概要】

アンケート名称:【HR総研】人材育成(階層別研修)に関するアンケート調査
調査主体:HR総研(ProFuture株式会社)
調査期間:2018年10月1日~10月9日
調査方法:WEBアンケート
調査対象:上場及び未上場企業の人事責任者・人材育成ご担当者
有効回答:194件

※HR総研では、人事の皆様の業務改善や経営に貢献する調査を実施しております。本レポート内容は、会員の皆様の活動に役立てるために引用、参照をいただけます。その場合、下記要項にてお願いいたします。
1)出典の明記:「ProFuture株式会社/HR総研」
2)当ページのURL記載、またはリンク設定
3)HRプロ運営事務局へのご連絡
  ・会社名、部署・役職、氏名、連絡先
  ・引用先名称(URL)
  ・目的
   Eメール:souken@hrpro.co.jp

  • 1