2016年3月、Googleの傘下ディープマインド社のアルファ碁が世界チャンピオンの韓国の棋士に勝利したニュースが世界をかけ巡ってから、まだ2年もたたないうちに、人工知能というキーワードは急速に広がり、多くの企業が事業に導入するようになった。
そんな中、5月10日、赤坂溜池タワー13Fにて人工知能型の次世代ERP「HUE(R)」を提供する株式会社ワークスアプリケーションズCEOの牧野正幸氏と徳島県知事の飯泉嘉門氏がAIによる地方創生の可能性について語る「ワークス徳島人工知能NLP研究所」の開所記念イベントが行われた。
今回はその中から、ワークス徳島人工知能NLP研究所についての説明と、牧野氏と飯泉知事のトークの様子をレポートする。
AIは地方を活性化させるのか? ―― ワークス徳島人工知能NLP研究所開設記念イベント

ワークス徳島人工知能NLP研究所について

まず、はじめに、ワークス徳島人工知能NLP研究所について、所長の内田佳孝氏が説明した。
以下、その内容をまとめる。

株式会社ワークスアプリケーションズは、2017年2月にワークス徳島人工知能NLP研究所をオープンした。自然言語処理(NLP)研究に特化した人工知能技術の開発を行う同研究所のミッションは、HUE(R)人工知能の精度向上、人工知能の進化の為の研究開発、新しい働き方を提案する新機能の開発だ。
HUE(R)とは、2014年12月に発表した世界初の人工知能型ERPだ。ワークスアプリケーションズが創業20年の間に蓄積してきた1,200を超える企業の業務ノウハウやログデータを人工知能に組み合わせることで、業務の効率化が可能になる。0.1秒のハイスピードな応答が特徴で、ユーザーの次の行動を予測し、業務の生産性向上を狙う。これにより無駄な時間を排除し、クリエイティブな時間を提供することが、HUE(R)が目指すことだという。
AIは地方を活性化させるのか? ―― ワークス徳島人工知能NLP研究所開設記念イベント
例えば、月次報告の時期になるとHUE(R)がサジェストしてくれたり、出張から帰ってきたら出張精算書を作成するよう促してくれる。それだけではなく、定形業務の場合、過去のデータを元に入力支援も行ってくれる。

HUE(R)の画面ごとにユーザーに応じた検索サジェストを行い、検索する上での入力の手間を省き検索の精度を高めている。また、画像や契約書やレジュメなど、PDFデータにどのような文字が書かれているか、HUE(R)上で解析して社名や金額などを自動的に抽出する技術も開発している。

HUE(R)を使っているユーザーは多種多用な業務に渡る。そのため、それぞれのニーズにあった使い方に適応させていかなければならず、様々なドメインに自動適応させていく自然言語処理の技術の一つである形態素解析などの研究開発も行っている。

さらに、これらの技術すべてをOSS(オープンソースソフトウェア)として公開していくという。新言語処理を開発している様々なユーザーに使ってもらい、フィードバックを得ることでHUE(R)の進化を高めていこうというのだ。

HUE(R)の新機能は2つある。1つが秘書エージェントシステム、もう1つがオフィスエージェントシステムの研究開発だ。

秘書エージェントシステムは、スケジュールの調整、会議室の予約といった業務を自動化し、アポイントメントのメールがあった場合、自動的にスケジュールを作成し関係者の予定をおさえる。音声認識型のチャットポットを組み合わせ、社内資料を効率的に管理、分析する機能を開発する予定だ。

オフィスエージェントシステムは、PCに向かう業務以外をサポートするシステム。例えば会議中の発言の自動翻訳や議事録の自動作成や分類を行う。多拠点同時接続ができ、コミュニケーションを活性化させる技術の研究開発を進めている。
特に業務効率につながるチャットボットについて研究開発を進めており、業務フローを分析することによりチャットボットの導入コストを抑えたり、使うほどに賢くなっていく仕組みを開発しようとしている。
AIは地方を活性化させるのか? ―― ワークス徳島人工知能NLP研究所開設記念イベント


そのほかにも、エンタープライズコラボレーションという企業内のコミュニケーション、メール、スケジューラー、チャットなどを統括する機能を持つパッケージ化、業務ログとコミュニケーションログを分析し、働き方の意思決定を加速させるためのソフトなど、HUE(R)だからこそできる研究やメンタルヘルスリスクや退職リスクの早期検出の機能や、隠れたハイパフォーマー人材の発見、ハイパフォーマー人材がどのようなコミュニケーションを取っているかの分析などの研究も進めている。

ワークス徳島人工知能NLP研究所は、イノベーションのスピードを加速させるために多機関と連携を進めたいという。徳島県と連携した雇用拡大も積極的に進め、民間企業とのコラボレーションも検討しており、このような多機関連携をHUE(R)の新しい価値創造としたいと考えている。

地方創生の現状とは

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