地元企業への認知度が地元(Uターン)就職のカギに

地元(Uターン)就職を希望しない学生の理由としては、「都会のほうが便利だから」(38.4%、対前年3.4ポイント増)がもっとも多かったが、ほぼ同じ割合で「志望する企業がないから」(38.1%、対前年1.9ポイント増)が続いた。また、実現すれば地元で就職するかもしれない要因としては、「働きたいと思うような企業が多くできる」(47.1%、対前年0.5ポイント増)が上位となっている。

さらに地元から出て進学した学生のうち、地元での就職活動を考えている学生に、障害となっていることを聞いたところ、「地元までの交通費」(26.0%)に次いで「地元企業の数が少ない」(18.6%)が選ばれた。

以上の結果を見てみると、学生が地元で就職しようとしないのは、地元の中小企業に魅力がないと感じていたり、都会での就職を強く望んでいたりするからだけではなく、そもそもどういった企業が地元にあるか情報が少ないことが大きな理由のようだ。つまり、地元企業の認知度を上げることが、地元(Uターン)就職底上げのカギになるといえるだろう。

地元企業の認知度を上げる方法としては、就職サイトのエリア特集ページの活用、合同説明会の開催、学内就職説明会への参加など、様々な方法が考えられるが、有力なのは大規模なUターン就職の合同説明会やインターネットを用いた啓蒙ではないだろうか。
現に学生からは、「学内の説明会で、もっとUターンの説明会がほしかった」「地方の中小企業等の方が、自分のやりたいこととマッチしている可能性も大いにある」「地方の合同説明会を大きな規模でやるべきだ」といった、Uターン就職に前向きな意見が挙げられている。

合同説明会については、開催頻度や規模、開催場所や会場までの交通アクセスなどがポイントとなるだろう。学内説明会についても、積極的に都市部の大学に赴き、地元企業の魅力をアピールする姿勢が求められる。情報の多くをスマホから得ている学生のために、Uターン就職を啓蒙するWEBパンフレットなどを積極的に配信してもいい。

地方企業への説明会や面談に参加するための交通費や宿泊費の負担が壁になっている可能性が高く、インターネットやスカイプを使ったオンライン面談や交通費の援助制度なども視野にいれても良いかもしれない。

帰省タイミングに合わせて地元企業をアピール

学生が帰省しやすいタイミングとしては、大学3年(大学院1年)の8月(60.0%)や大学4年(大学院2年)の8月(50.2%)のほか、各学年の12~3月という回答が集まっている。地方に学生が来るタイミングを見計らった地元企業アピールも学生獲得のための戦略の一つだ。

盆休みや年末年始休暇の帰省のタイミングで、地元企業をアピールするイベントを開催するのもよいだろう。実際、学生からは1ヵ月ほどのインターンシップなど、住み込みをしながらの体験型イベントを実践するアイデアも飛び出しており、地元企業の特徴を知ってもらうための対策に活かせそうだ。

学生の意見に耳を傾けることは、企業と学生の幸せなマッチングのために不可欠である。学生の地元(Uターン)就職を狙う地方企業は、今回の調査結果を活かして、採用プロセスの改善に努めてはいかがだろうか。
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