政府はワーク・ライフ・バランスを推進するために、多様な働き方のひとつとしてのテレワークを推奨している。しかし、実際に導入に踏み切る企業(特に中小企業において)は少ない。実際にテレワークを導入する場合、企業にどのような影響があるのだろうか。
「テレワーク」は働き方を変えるか!?

対象職種

テレワークの導入対象は広く、「パソコンとインターネット環境があればできる職種」はすべて対象になりうる。店舗で接客などのサービスを提供する職種には不向きだが、サービス業であっても人事・財務・法務・庶務などのいわゆる間接部門は対象になりうるだろう。

初期導入コスト

テレワークを導入するためのコストとして、下記のものがある。

・ パソコン&周辺機器購入費   
・ グループウェア導入費
・ セキュリティ対策費 
・ 勤怠管理システム導入費等

たとえば、パソコン本体は個人で持っていることも多いが、業務用とプライベート用を分けるために別途購入して会社が貸与したほうがいいだろう。
また、会社と自宅を接続するために「リモート接続」「VPN接続」などのネットワーク環境を整えること、情報漏えいリスクを軽減するためのセキュリティ対策や、タスクの管理・勤怠管理のためのソフトやシステムも必要だろう。

次に、テレワークのメリット・デメリットを考えてみたい。

メリット

■コスト
上記で導入コストに触れたが、通勤にかかるコストを下げられることはメリットのひとつだろう。通勤コストには、定期券や駐車場代などの直接的なコストのほか、満員電車や長時間の移動による疲労やストレスなどの間接的なコストも含まれる。また、コンパクトなオフィスにした結果、オフィス賃料も減少するかもしれない。

■採用
「育児や介護でフルタイムでは働けない」「通勤が困難」等のケースでも求人対象とできる。これらのケースでは優秀な人材も多く、教育に対するコストを下げる効果も期待できる。

■定着
特に女性は、結婚・妊娠・出産・育児などのライフステージの影響を受けやすい。その他、教育・介護など、大きな人生の転機を迎えたときでも、離職せずに働き続けられる可能性が広がるのではないか。人手不足が叫ばれて久しいが、離職を防ぐのも人手不足解消の一助だろう。

デメリット

・会社への帰属意識の低下
・管理監督コストの増加
・コミュニケーションの不足

これらのデメリットを克服するために、定期的な出社義務、業務の標準化・定量評価の仕組みの整備、SNSの有効活用等、それぞれの会社に合った工夫が必要だろう。

もはや、働き方に正解はない。労働時間が成果に繋がる業種もあれば繋がらない業種もある。繁閑の差が激しい業種もある。それぞれの会社が工夫して、従業員が最大限のパフォーマンスを発揮できるような環境を整備することが求められているのではないだろうか。


社会保険労務士たきもと事務所
代表 瀧本 旭

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