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男女間の所得格差、2062年にも解消へ ── 女性の就労観と格差是正の道筋とは

HRプロ編集部
2017/05/18

総合コンサルタント会社であるアクセンチュアが、男女の所得格差に関する調査レポートを発表した。その調査結果によると、男女間の所得格差解消は先進国で2080年(日本では2121年)との予測であり、産官学の積極的な連携・支援によってその実現をより加速させることが可能だという。

日本では男女雇用機会均等法が施行されて30年を超え、さまざまな啓蒙・取り組みが実施されているが、グローバルと比較してもまだまだ道半ばであるといえる。格差是正の早期実現へ向けて課題、支援方法にはどういったものがあるのだろうか。

日本で男女の所得格差が解消されるのは2121年?

アクセンチュアが発表した最新調査結果「Getting to Equal 2017(男女のキャリア平等に向けたレポート2017)」によると、今後特別な施策を打たない場合、男女間の所得格差が解消されるのは先進国では2080年、日本では2121年になる見通しであることがわかった。

これに対し、アクセンチュアは所得格差解消を加速する3つのキャリア構築の加速要素を特定。産学官が十分な支援を行い、女性がこれらを活用することができれば、先進国では36年早い2044年までに、日本では59年早い2062年までに男女の所得格差解消を前倒すことができるという。

アクセンチュアが提唱する、「3つのキャリア構築の加速要素」とは次の3つである。

(1)デジタル活用力:デジタル技術を活用して、社会や人とつながり、学び、働く力
(2)キャリア戦略:高い目標を設定し、十分な情報に基づいて選択し、積極的にキャリアを築く力
(3)テクノロジーの習得機会:優れたテクノロジーやデジタルスキルを習得する機会

アクセンチュアの会長兼CEOであるピエール・ナンテルム氏によると、「多様性を尊重する職場では男女平等が必要。所得格差の解消にあたっては、企業・政府・大学の連携が不可欠。産学官が連携して、女性に適切な機会や環境を提供、ロールモデルを見える化することで、変革を推進していくことが肝要」であると述べている。

男女に所得格差がある理由

日本における男女の所得格差の最大要因には、女性の就業率の低さ(男性93%に対し、女性76%)がある。女性はどうしても妊娠・出産などのライフイベントがあると、仕事から一時的に離れざるを得ないという事情があり、加えて古い体質の残る企業では「女性は結婚・妊娠すれば仕事を辞めるもの」という意識がまだ根強く残っていることも、これに拍車をかけている原因ではないかと思われる。仕事の第一線から退いてしまえば、収入が途絶えてしまったり、極端に減少したりすることはやむを得ない。

ただ、この風潮は近年改善傾向にある。厚生労働省の「平成27年版働く女性の実情」を参照すると、女性の就労状況を表すグラフがかつてはM字型だったのが、ここ10年間で欧米型の台形型に近づいていることがわかる。このことから、妊娠・出産を経ても早期に仕事に復帰する女性が増え、かつての同年代の女性よりも収入は増加しているのではないかと推測できる。

日本での産学官の連携による就労支援とは

日本ではすでに、女性の就労者を増やすための取り組みとして、政府主導で各企業にポジティブ・アクションを推進するための法制度の整備を進めるとともに、産学官が連携しての女性に対する就労支援が行われている。

1.厚生労働省による女性の活躍・両立支援総合サイト
厚生労働省は、女子学生が進路や就職を考える上での判断材料として、「女性の活躍・両立支援総合サイト」を立ち上げている。これは、就職活動の際に各企業が取り組んでいるポジティブ・アクションや女性の活躍状況についても考慮するよう、大学など教育機関を通じて女子学生への啓発活動をするものだ。

2.内閣府による理工系に関心を持ってもらうための取り組み
女性の若年層にもっと理工系分野の仕事に関心を持ってもらうべく、内閣府が主体となって女子学生に対して情報提供を行っている。これは、企業や研究機関、メディアなどで活躍する女性を招いて行う講演やディスカッションを通じて、理工系分野で活躍する女性のロールモデルを示し、自分が実際に働くイメージを持ってもらうことが狙いだ。

管理職への昇進が女性の収入をアップさせるひとつの手段だが……

女性の所得をアップさせる手段のひとつとして、女性の管理職への登用が考えられる。近年、企業の女性管理職へのニーズは高くなっているものの、「管理職を目指したい」との上昇志向を持つ女性は少ない。平成25年に労働政策研究・研修機構が調べたところによると、企業の中で昇進を希望する女性の割合は、管理職でおよそ3割、一般従業員ではわずか1割程度にとどまっている。

この要因としては、身近にロールモデルがいないことや能力に自信がないことに加え、「責任が重くなる」「仕事と家庭との両立が困難になる」との懸念があることが挙げられる。特に20代から30代にかけての女性は、妊娠・出産・育児に直面する可能性が高く、そうなるとどうしても仕事よりも子育てを優先せざるをえない。それを見越してか、働く女性の6割が「子供ができたらワークライフバランスを重視した働き方をしたい」と考えているようだ。

管理職ともなれば部下の管理・育成という重責を担うことになり、業務量が増えることから労働時間が長時間に及ばざるをえない。また、管理職は残業手当がつかないことから、残業をしてもその分の給与がもらえるわけでもない。高学歴で優秀な女性たちですら、子どもができたら仕事をセーブしたがる傾向がある中でこうした事情も相まって、管理職になりたがらない女性が多いのである。

女性が今後社会で活躍するための課題とは

政府は2020年までに女性管理職の割合を30%に引き上げる目標(いわゆる「2030(にいまるさんまる)」)を打ち出している。しかし、このまま管理職の長時間労働の常態化が続けば、この数値目標を達成することは困難ではないだろうか。

大切なのは、女性がキャリアを形成していく上で、管理職になっても働きやすい環境整備をすること。管理職になった女性に対して、ライフステージに合わせて柔軟に働き方を変えることを認めれば、彼女たちが同年代の女性たちの一歩先をゆくロールモデルとなり、「既婚・子持ちの女性でも管理職としてやっていけるのだ」との安心感につながる。そうすれば、女性管理職へのハードルも下がるのではないだろうか。

現代の超・少子高齢化の波を受けて、女性の活躍を後押しするための政府の取り組みは進んでいる。管理職の立場でももっと柔軟な働き方ができるようになれば、社会で活躍できる女性が増え、男女の所得格差も一層縮小するだろう。

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