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昇格による戸惑い、女性は「葛藤や板挟み」に問題を感じやすい ── 男女のリアリティショックの差が明らかに

HRプロ編集部
2017/05/16

トーマツイノベーション株式会社は、人材育成研究の専門家である東京大学・中原敦准教授との共同調査研究プロジェクト「女性の働くを科学する」にて、5,000名を超える大規模調査を実施した。今回の調査から男女の仕事観には違いがあり、リーダー・管理職に昇進することで生じる戸惑い(リアリティショック)は同様にあるが、種類が異なることが明らかになった。
「昇進」に対する女性の本音はどういったものだったのか。女性活躍推進が時代のキーワードとなる中、興味深いレポートとなった。

女性は「やりがいのある仕事を長く続けたい」

同調査は管理職・リーダー・実務担当者の男女の6つの属性5,402名を対象に、2016年9月から12月にわたって行われた。

調査結果のサマリは以下の通り。
(1) 女性社員は働く意欲は高いが、キャリアを伸ばす機会が十分ではない。
(2) 女性が働き続けたいのは、平等、誠実で、残業見直しの雰囲気のある職場。
(3) リーダーになりたての頃、女性は曖昧な状況・葛藤・板挾みなどでつまずく。
(4) 女性が昇進を受け入れるのは上司の細やかな説得次第。

「働く上で重視していたもの」についての質問に、女性の約3割が「やりがいのある仕事をすること」と回答しているのに対し、男性は18%とかなり低め。「できるだけ長く仕事を続けたいと思うか」という質問に「長く勤めたい」と答えた女性は23.9%、男性は13.6%となっている。このことから、女性は「やりがいのある仕事を長く続けたい」と考える傾向が男性より強いと分かる。一方、男性は「自分の将来の糧になると信じて仕事に打ち込むこと」や「自分の評価を上げること」を重視しており、仕事のやりがいだけでなく、昇進への期待も重要なポイントになっていることがうかがえる。

男女のリアリティショックの大きな差が明らかに

今回の調査の中で特に注目したいのは、男女のリアリティショックの違いだ。リーダーや管理職への昇格によって感じる戸惑い(リアリティショック)は男女ともにあるが、その種類は大きく異なる。男性の場合、プレイヤーにマネージャーとしての役割が加わったことでプレマネバランスや多様な人材活用、ネットワークづくりを課題にしている場合が多いが、女性は仕事をする上での「葛藤や板挟み」のメンタルタフネスに問題を感じやすいという。「ビジネスで成功した女性は妬みを買いやすい」との回答は女性22.2%、男性7.2%と20ポイントも差がある。女性のリアリティショックを高めているのは、仕事そのものではなく、男性中心の職場での曖昧な立場によるストレスにありそうだ。

女性の場合、自分の強みを活かして男性と対等に活躍したいという想いはあるものの、それが出世欲に結びついているとは限らない。男性中心という空気が色濃い職場では、女性が頭角を現せば「出過ぎている」「女性のくせに生意気だ」と男性から疎まれることを懸念し、あえて能力をフルに発揮できないこともある。自分が手柄を立てることで、周囲の男性と仕事がやりにくくなるくらいなら、サポート役として徹した方が心地よく仕事ができると考えることもあるだろう。

「上司のために役職をひきうけざるをえない状況になった」と答えた女性は男性よりも多い(男性22.5%、女性32.2%)。一方男性は「昇進したいと思っていた」(男性20.2%、女性14.7%)、「昇進は社会や会社からの承認を得ること」(男性20.1%、女性14.3%)と、昇進に対しても女性の方がネガティブに捉えていることから、女性は会社における承認欲よりも、居心地の良さを優先する傾向があると分かる。

女性の活躍のためには、企業側の配慮が必要

2016年4月1日の女性活躍推進法の施行から、女性活躍推進は時代のキーワードになった。しかし、ますます女性の活躍が注目される一方で、企業ではどのように女性をサポ―トしたらいいのか曖昧なままだ。今回の調査によると、「女性が働き続けたいと感じる職場環境」は、「結婚や子育て中でも働きやすい雰囲気や昇進しやすいこと」よりも、1位「女性に対して平等に機会を与えられる」、2位「責任を持って仕事に取組み互いに助け合う」、3位「残業を見直す雰囲気がある」となっており、男性と対等に働く機会を得ることを望んでいることがわかった。
ただ、出産、育児という女性ならではの事情により、職場はどうしても男性中心にならざるを得ない。また、企業側は女性の活躍を期待しながらも、肝心の場面で出産や育児で女性が休業しなければならなかったり、残業ができなかったりなどの現実に、どのタイミングで責任ある仕事を任せ、リーダーに昇格させたらいいのか見計らう必要もある。

「残業をする社員の方が会社に貢献している」と考える風土が残っている企業は未だに多く、男性目線がぬぐえない現場では、いくら女性活躍推進を促しても、状況は変わらない。

女性の活躍を支援するためには、まず企業内で女性の本音や仕事観を吸い上げ、男性目線の企業のあり方の変革が必要といえそうだ。

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