今回はインターンシップについて。

 先月の14日に石川県ジョブカフェの主催でインターンシップフェスが開催され、1000名を超える学生と、130社を超える企業が参加しました。このイベントは昨年から始まったのですが、昨年は600名くらいの学生と80社くらいの企業が参加しました。何をするイベントかというと、インターンシップのための合同説明会です。企業ブースを学生が自由に回って説明を聞くという点では通常の合同企業説明会と同じなのですが、ちょっと面白いルールがあります。
  1回15分のプレゼンを3回聞いて、さらにフリータイムでも興味のある企業のブースで話を聞くことができるのですが、最終的には自分の参加してみたいインターンシップ先に最大3社まで申込用紙をおいてくることができるのです。企業は学生からの申込用紙を受け取ってその中で来てほしい順に順番をつけてジョブカフェに報告します。一方学生の申し込みをした企業の優先順位をジョブカフェに報告することになっており、そのマッチング順でインターンシップ先をFIXしていくというやり方を取っています。たとえば企業が1位で指名している学生でも、学生のその企業への優先順位が3位だったとすると、学生の希望優先順位の高いところで話がまとまり、その学生を1位で指名している企業には行かない、といった状況が起きてしまうわけです。

 このやり方のもう一つ面白いところは、学生が希望する企業に希望票をおいてこないといけないところです。やってみるとわかるのですが、それまではほとんど企業の人と接したことがない学生がほとんどなので、企業に申込用紙を持っていく行為自体がとても緊張するようです。一方、申込用紙を受け取る企業側も結構どきどきします。また、中小企業だと普段あまり大学生と接点を作る機会が多くないため、学生が申し込み用紙を持ってきてくれるととても嬉しいみたいです。昔テレビで放映していた、「ねるとん紅鯨団」みたいなドキドキ感があって、最近の就活や採用活動では忘れられていたような感覚を味わうことができます。

 さてそんな感じで金沢大学のある石川県では地域企業のインターンシップがどんどん盛り上がっているのですが、一方では今回のタイトルのように公務員志望者はあまりインターンシップに参加していないという問題があります。
そもそも参加する学生が少ないことに加えて、ほとんどの学生が、自分が希望する就職先で実施するインターンシップしか参加しない、さらに官公庁のインターンシップのほとんどが職場体験(5日くらいの期間で色々な職場をぐるぐる回って終了)中心のプログラムになっていて、インターンシップというより職場見学会のような内容になっているのが現状です。

 実は公務員志望者こそが、一番就業感の醸成ができていないのでは、という課題認識を持っています。実際に筆記試験終了まではほとんどの学生が受験勉強しかしておらず、筆記試験が終わってから面接対策として自己分析や志望先の研究を始めるのですが、働くことへのイメージの具体化がとても弱いので、皆面白くないというか表面的な内容に終始してしまうというのが実情です。

 前にもこのコラムで指摘したことがあると思うのですが、消去法で職業を選ぶ人がとても多いと感じています。
公務員志望をすべて悪いという意味では決してないのですが、消去法で公務員を志望する人が、これから少子高齢化の流れの中で滅び行く地方を立て直す原動力としては、とても心もとなく見えてしまいます。今の延長では確実に人口減少が進み消滅の危機を迎える公算が高いのがほとんどの地方の未来です。

 そういうわけでキーパーソンとなる地方公務員を志望する学生たちの意識を変える必要があるのでは、と懸念しておりまして、県、ジョブカフェの皆様と協議しながら官公庁主催の地域課題解決型のインターンンシッププログラムを開発し、この夏に試験的に運用を行います。うまく進むようであればより多くの市町村と連携し、前向きでチャレンジャブルな思考を持った公務員志望者を醸成できればと考えております。

 本学の場合は文系の学生の約3割が公務員になっています。
 本学は旧帝大でも公務員志向の学生が多いといわれており、おそらくは本学と同じような思考の学生が公務員志望者には多いのでは、と思量しております。こうした公務員志望の学生の意識を変えることが学生全体の意識をより前向きに変えることにもつながるのではと思っています。とても難易度の高い課題ではありますが少しずつ積み上げていければいいかなと考えています。

 民間就活の話題と少々関係のない話題でしたが今回はこのあたりで・・・
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