金沢大学は2017年卒の選考真っ盛りという状況です。
超短期決戦ということで、この時期のこの状況の予想はできていたのですが、地方学生の場合キックオフが遅く、本学についても3月から本格的な就活を始めた学生が半数以上のようです。
  3月上旬の学内合説周りから始めてとりあえず気になる会社をチェックしたものの、それらの会社の選考が始まってしまい、志望動機も全然まとまっていない・・・と思いつめた顔をして相談に来る学生がとても多い今日この頃です。

 残念ながら、まだまだ自己分析・企業研究ともに掘り下げが不充分な学生が多いのが実情ですが、企業の皆様から暖かいご指導をいただけるとありがたいですね~(笑)

 さて、超売り手市場になっている昨今、就活にはあまり苦労せず、なんとかなっている学生が多いようなのですが、一方で困った状況も出てきています。
前にもこのコラムで指摘したこともあるのですが、私たちからすると、就活の経験値が低く、もうちょっと苦労したほうがいいのでは・・・?と思えるような学生が早々と内定を得て、安易に就活を終える状況が増えてしまっています。

 就活はものすごい重圧と苦しみのようで、「就活が怖い、逃げたい」と思っている学生はとても多いように感じます。そうすると、「早くこれから逃れたい」という気持ちから、早々に出た内定を受諾して就活を終わらせてしまう、といったケースが増えているようなのです。

 そして、こういった学生たちが、入社後の仕事と自分とのアンマッチに遭遇し、早期離職してしまっているように思います。地域貢献したいからといって地銀に就職し、外回りに配属されて「営業無理!」みたいな感じで早々に離職してしまうような感じですね。

 「嫌な事はしたくない、逃れたい」というのは、ある意味幼い考え方かなあ、と思ったりするのですが、社会人になってしまうと正面切って本人に助言してくれる人はほとんどいません。もっとも見近な人生の先輩はおそらくご両親ではないかと思うのですが、助言として出てくるのは、「ほら、だから言ったでしょ、あなたに会社勤めなんか務まるはずがないんだから、勉強して公務員になりなさい!」となってしまっているようです。
金沢大学の場合特に文系にその傾向が強く、もともと半分以上が公務員になっているような学類もあるので、そういった状況から公務員の勉強を始める人が多いようです。

公務員って英訳するとバブリックサーバント、公僕ですよね、、
そんな消去法みたいな考え方で、自分の勝手と都合で公務員になられても困るというのが納税者としての偽らざる本音だと思いますが、実際のところそういうケースがかなり多いようです。

 こういった場合、子供にも問題がありますが、親にだって問題があります。さらにこのようなやりとりをしている家庭のご両親の職業は、教員か公務員のケースが圧倒的に多いようです。誤解のないように追記をさせていただくと、教員や公務員の方々すべてに問題があると言っているわけではありません。私自身も含めて、大人も所詮自分の経験の範囲でしか物事を判断する事しかできないわけで、そういう意味では戦後70年の中で同一職業の親子間世代交代が進んでおり、そんな中では家庭内の価値観の多様化が生まれにくい状況が進んでいるように感じています。そして職業間の意識格差は特に地方には進行が著しいようです。これは職業間移動が極めて起こりにくい地方の事情があると思っています。

もう一つ、50歳を過ぎると実感できる部分があるのですが、あと10~15年頑張ればなんとかなるかも・・・という先が見えてくると、そこまで職業を続けた場合に得られる既得権の価値が上がってくるのを感じます。しかし、この価値はおそらくその年齢にならないとおそらく実感できないものである事と、これからの日本で今の若者が本当にその既得権を得る事ができるかどうか極めて疑問である、という現実があまり認識されていないように感じます。地方の場合、グローバル化が今後の日本にどのような影響をもたらすか実感しにくいのも事実です。

 かなり根の深い話になってしまいましたが、自分にできる領域を超えてしまっている部分も多く、だからと言って手をこまねいているわけにもいかない中で、意識している事を、二つあげて今回のコラムを終わります。

一つはカッコいい大人との出会いの場を少しでも多く創出する事、
もう一つは「楽しい就活」をアレンジする事、です。
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