今月新卒採用のナビがオープンし、いよいよ採用活動を本格化させてきている企業も多いのではないでしょうか。
会社説明会から選考へ進む企業も多く、面接官の方々へのガイダンスやトレーニングを行う企業も増えてきています。

今回は面接官の知識とスキルをお伝えします。

1.面接官の印象=会社の印象

学生が企業の印象をいちばん強く感じるのは、企業紹介パンフレットやホームページではなく実は面接官(学生が選考で会った人)であることが近年の調査で明らかになっています。

就職活動中の学生から見ると、「自分が会った面接官=企業における典型的な人材」つまりは、学生からの面接官の評価が、自社の評価を決めてしまうのです。

面接は、企業側が応募者を選考する場ではありますが、学生も「就職先を選んでいる場」です。
そのため、面接でのあなたの表情や会話によって、自社に対してそれまで持っていたイメージが(良い印象に/ 悪い印象に)変化する場であると言っても過言ではないのです。
それだけ面接官が与える影響が大きいということを認識しましょう。

2.志望度をどうやって確認するか?

学生がどの程度、自社に対する志望度があるのかや、就職活動の軸(志向性)をどこに持っているのかを確認するために、その学生が自社以外のどんな企業に就職活動しているのかを確認しましょう。
学生が説明会や面接で多くの企業を回ると、必ず「良い印象」「悪い印象」を持つ企業が出てきます。

それぞれに「なぜそう思ったか?」を聞くことによって学生が就職活動時に大切にしたい企業選びの軸や志向性が解ります。
その志向性が自社の志望理由と合致している場合は志望度が高いと考えられます。

3.メンタルチェックをどのようにすべきか?

面接官研修などで、「メンタルチェックはどのようにすればいいのでしょうか?」「ストレスに強い学生を採用したいのですがどのように見極めればいいでしょうか?」と聞かれます。近年、メンタル系のトラブルが急増しているので人事の皆さんのお気持ちは良く解ります。よく行われているのが「ストレスに強いか?弱いか?」を聞く「ストレス耐性」(ストレスに対してタフか)に関する面接ですが、一番重要なのは、ストレスをコントロールする力=「ストレス対処力」があるかを確認することなのです。

ストレスを「水」、ストレス耐性を「コップの容量」とすると、ストレス耐性が強いほどメンタル系のトラブルが少ないと考えがちです。
しかし、そのコップの容量を超えて水(ストレス)が流れ込むと、どんなに容量の大きな人でも水があふれてしまいます。
大きな容量の人がたくさんの水をため込むと溢れ出た場合の水の量も多く、メンタル面での重大な問題が一気に生じます。

この水の流れ込む量をコントロールしたり、流れ込んだ水を外へ上手に吐き出したりする「ストレス対処力」こそ重要なのです。面接で聞くべきことは「ストレスに強いか弱いか?」ではなく「ストレスにどのように対処できるか?」なのです。

事例紹介:ストレス対処力を確認してメンタルトラブルを防ぐ!

広告企業のH社は、体育会の元気で強いタイプの学生を多く採用していました。

しかし、仕事でのプレッシャーも多く鬱になる若手社員が多く発生していました。鬱になるパターンは特徴的でだんだん元気がなくなるのではなく、昨日まで明るく元気にしていたのに急に会社に来なくなり、それっきり出社できなくなるというパターンでした。これはコップの容量が大きく我慢して我慢してストレスをコントロールできずに心が折れてしまうパターンです。H社は面接での質問もストレスに強いかではなく、ストレスがかかった時に我慢するのではなく誰かに相談することができるのか?気分転換やストレス発散方法は持っているのか?などを聞くようにし、適性テストも「ストレス耐性」を確認するだけの物から「ストレス対処力」まで確認できる、より細かくストレスの中身が確認できるものに変えていきました。

その結果、急に心が折れる若手は少なくなり、上司への相談が増え、事前に会社として対処できるようになったのです。
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