以前、ある企業の2年目社員の営業研修を実施した時のことです。様々な営業所から15名程度の2年目社員が集まりました。久しぶりに同期の仲間と合えて、みな嬉しそうです。

 研修内で、「営業で工夫していること」を発表し合う時間がありました。一人の参加者が、iPadを取り出し、最近新規の営業時に使っている資料を画面でみんなに見せました。すると、他の参加者の目の色が変わり、「もっと見せてくれ」「どのような場面で使っているのか?」「他の資料はないのか?」と多くの質問が飛び交いました。
 他の参加者が、最近使っているチラシを見せた際も、全く同じ状況になりました。
私は、参加している営業の皆さんに聞いてみました、「このような資料を、営業所を超えて共有していないのでしょうか?」と。すると、「全くしていない」「他の営業所の営業が何をしているかは、ほとんど分からない」という答えが返ってきました。
 実はこのような現象は珍しいことではありません。ともすると、同じフロアで隣り合っている営業所の資料でさえも共有されていないということさえあります。

 非常に良い資料が作られているのに、全社的に共有されないのは大変もったいないことです。また、同じような提案書や資料を、それぞれの拠点が多くの時間を割いて作成しているのは、非効率ではないでしょうか?
 
 では、なぜ資料が、そしてアイデアが共有されないのか?
 それは、もちろんマネジャーの責任です。マネジャーが、他のセクション、他の拠点に、「何か良い資料はないか?」と働きかけていないからです。全て一つのセクション、一つの拠点で完結する時代は終わりました。いつも同じメンバーでアイデアを出し合っているだけでは、いつも似たような意見がグルグル回るだけで、大きく進化することはできません。そんな時に、他のセクション、他の営業所が作った資料や提案書を参考にすることで、良いアイデアが導き出されます。

 しかし、ただ単に「何か良い資料をくれ」とTakeばかりしている都合のよい人に、苦労した作成した資料や提案書をあげたいでしょうか?
 他のセクションや拠点のアイデアをもらいたいのなら、まず自分たちのチームの資料やアイデアをGiveすることがスタートです。「良い資料を作ったので参考にどうぞ」とメールで送る、社内SNSでお知らせする、マネジャー会議の際に共有する等、与える姿勢を貫くことです。

 いずれにしても、強いチームを作るためには、他セクション、他拠点のアイデアを良い意味で盗み、自チームのアイデア創出に活かすことが大切です。マネジャーは、他のセクション、他の拠点から情報収集する力が求められています。そして、情報収集が非常にうまいマネジャーは、常に自分が多くの情報を与えている、つまりGiveが先行しているのも特徴なのです。
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