昭和の時代から働いている身からすると、「仕事に働き甲斐を求めるのが普通」と思ってしまいがちです。
「面白い仕事や新しい仕事とそこから導き出される業績成果、それに伴う自分の評価とその結果としての賃金、これらが働き甲斐の源泉である」と信じて仕事に取り組んで来ました。
しかし、近年、「ワークライフバランス」の思考が広がり、過去の「ワーク中心」の上記のような考え方は廃れつつあるようです。
「ワーク」だけではなく、いや、それ以上に「ライフ」も同時に充足感を得ることが重要になってきているのではないでしょうか。
もっとも「ワーク」は「ライフ」の一部ですから、「ワーク」も充実しないことには、「ライフ」の充実感は得られませんが。

「給料や週休2日制も大切であるが、働き甲斐を求めることの方がより人間らしい生き方ができる」という意識調査の傾向は、下記のようになっており、両立の意識は6割の新入社員が持っていると思われます。

 そう思う   60.8%
 わからない  18.0%
 そう思わない 21.2%

この設問の回答率の変遷は、「そう思う」という回答率が58.3~66.6%の間で上がったり、下がったりし、この10年の平均が62.6%です。2013年が66.6%であったことを考えると、2014年は6%近く数値が下がっています。他の意識調査の傾向もあわせて解釈すると、次のようなことが考えられます。

 ・「ワーク中心」の人生観が明確に崩れてきた。
 ・就職環境が良くなり、「仕事を頑張ります」と肩ひじを張らなくても採用されてた。
 ・東日本大震災以後、地域や家庭回帰の流れがある。
 ・仕事と私生活を分けて考えようとする傾向が強くなった。
 ・安定した生活を望むようになった(終身雇用を望む傾向が強くなった)。

福利厚生や休暇、社内風土などを質問する学生が増えたとの大学就職課職員の方の声も聞いています。
おそらく、これからの社会、業績中心でバリバリ働く社員もいるのでしょうが、ライフの充実も目指して、そこそこ働く社員も増えてきます。
そういった多様な社員を取り込む制度、風土が企業の成長に欠かせなくなると思われます。

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