前回、学生にインターンシップの参加を促すと知っている会社のインターンシップに応募が群がってしまい、職業観の醸成や就職先の視野を広げることにつながらなくなってしまうことをインターンシップの普及に対する懸念事項としてあげました。それに対して我々の現在二つの取り組みの推進を考えていることを前回のコラムでお伝えしましたが、今回はそのうちの一つのお話です。
インターンシップの普及の中で大事なことはインターンシップのプログラムの質にこだわることだと考えております。参加してよかった、得るものが大きかったという学生の評価が高まればそれは就職の為だけではなく学びの場としてのインターンシップのブランドが確立できると考えております。したがってインターンシップのプログラムについて実施する企業にすべてをゆだねるのではなく、その業界のビジネスモデルや仕事のやりがい、そしてどんな人材が求められているかを学ぶことができるインターンシップのプログラムを、我々で開発し同じ業界であれば簡単に導入できるようなパッケージとして活用できないかと考えています。今年は5-8業界の企業と相談しながらその業界にあったプログラムを開発しています。プログラムの内容は単なる就業体験だけでなく、ロールプレィやアセスメント、グループワークやディスカッション、そしてプレゼンテーションなどのアクティブラーニングの要素を多く取り入れた内容で検討しております。来年度は試行的に各業界1社ずつでインターンシップの受け入れを行っていただき、必要があれば修正したうえでその次の年からは業界ごとに複数の企業が導入できるような展開を考えております。

 さらに、初心者向けのプログラムから上級者向けのプログラムまで用意し、初級向けのプログラムは1-2年生でも参加できるような内容を想定しています。具体的には「知るインターンシップ」、「理解するインターンシップ」、そして「鍛えるインターンシップ」などのカテゴリーで区分し、何をどこまで学ぶことができるかを体系化できないかも検討しています。学びの質によって長期型のインターンシップや短期型のインターンシップなど、実施期間も様々なタイプが出てくるであろうと思いますし、中には見学型のインターンシップを複数の企業で共同運営するようなモデルもありかなと考えております。そしてこうした何を学ぶことができるインターンシップなのかという部分についてはあらかじめ見える形で設計しています。募集の段階で学生が選べるようにしようと考えております。

 またパッケージ化されたモデルといえども導入と運営には、インターンシップやアクティブラーニング手法についての知識とスキルが必要になると想定されますので、そうした手法を学びインターンシップの導入と運営に必要なスキルを習得した、インターンシップコーディネーターの養成会も開催する予定です。こうした取り組みによって学びの質の確保されたインターンシップを中小企業まで受け入れ先を広げて展開することを狙っております。何を学べるかを明らかにすることによって会社名でインターンシップ先を選ぶという現在の学生のインターンシップの選択肢を広げられないかともくろんでおります。


 ちなみに、2月にこれらのプログラムモデルについての発表会を石川県と共同で実施する予定です。興味のある方はぜひご参加くださいませ・・

 もう一つの取り組みはインターンシップフェアを開催することですがこれについては次回詳しくご説明させていただきます。
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