6月1日、2016年新卒採用向けの就職ナビ(プレサイト)が一斉にオープンし、例年をはるかに上回る件数のインターンシップ情報が掲載されています。6月15日現在のインターンシップ情報の掲載社数は、「リクナビ2016」で2869社、「マイナビ2016」で1465社に上ります。ここ数年、倫理憲章の規定により開催されていなかったインターンシップ募集のための合同説明会も、東京だけでなく、札幌、仙台、長野、金沢、名古屋、大阪、福岡など全国各地で開催され、2016年新卒採用は実質的にはスタートしたといってもいいでしょう。
 今回は、4月下旬にHR総研が実施した調査データをもとに、まずは2015年新卒採用の現状を見てみたいと思います。

採用企業数の増加により、プレエントリー数減少企業が上回る

リクルートワークス研究所が4月に発表した大卒求人倍率が、企業の採用計画数の増加により、昨年の1.28倍から1.61倍へと大きく上昇したことは前回取り上げましたが、採用計画数の増加は二つの要素から成り立っています。一つは「1企業による採用数の増加」、そしてもう一つは「新卒採用企業数の増加」です。それらが端的に表れるのが、就職ナビの掲載社数です。就職ナビ「マイナビ2015」「リクナビ2015」への掲載企業数はいずれも1万社を優に超える社数となっています。
 掲載数増加のあおりを受けて、プレエントリー数が前年を下回る企業が35%と、前年よりも増えた企業(23%)を10ポイント以上も上回っています[図表1]。景気回復により学生の大手志向がこれまで以上に強くなっていますが、大手企業はすべてプレエントリーが増えているわけではありません。それどころか大手企業でもプレエントリー数が前年より減少した企業のほうが、増えた企業よりも多くなっています。学生になじみのある「B to C企業」と目にする機会が少ない「B to B企業」、人気企業と認知度の低い企業、人気業界と不人気業界など、企業の二極化はさらに進行しているようです [図表2] 。
第39回 2015年新卒採用の現状

学生に一括プレエントリーをあおる「リクナビ」の姿勢に批判集中

今年、ある学生のネットでの投稿に端を発して、「リクナビ」の学生に対するプレエントリーをあおるやり方に対してさまざまな意見が飛び交いました。「リクナビ」側としては、狭い視野で就職活動をするのではなく、広く会社を見ることを勧めている趣旨もあるとは思われますが、批判的な声が多いように見られます。企業から寄せられた意見の一部をご紹介します。

・プレエントリー学生の質低下を招いており、弊害が多いと思う
・一括エントリーは学生の興味が伴っていないため、無責任なエントリーとなり意味がないと感じる
・プレエントリー自体の価値が失われてきており、不毛だと思う
・対象学部以外のエントリーが増えているので、あまり意味がない
・おどらされている学生がかわいそうだと思います
・見かけの数字だけを増やそうとしている感があり、あまり感心しない
・一括プレエントリーでたまたま入社し、結局合わず、早期離脱せざるを得ない学生を生産し、転職市場に誘導しようとしているのではないか、と勘ぐりたくなる
・学生にとっては楽をできるかもしれないが、企業研究もままならない状況で臨むのは、雇用のミスマッチの原因になると思います

ただ一方ではこんな意見もあります。
・その一括エントリーにつられて、中小へのエントリーも増え、大手と縁のなかった学生へのアプローチにはつながった気がする
・当社の採用メインの理系学生は文系学生より活動量が少なく、明らかに就活経験の面で劣っているため、ある程度背中を押す意味では理解できる
・少しでも多くの学生さんに興味を持っていただきたい弊社にとっては、助かります

プレエントリー数の減少を容認する企業は5割強

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