たいていの会社には、社内通という人がいるもので、
「今度、課長は、○○に異動らしいよ」などとまことしやかに秘密の情報を
教えてくれたりするわけですが、この情報はだいたい玉石混交。
本当のこともあれば、ちょっと違うこともありますし、時にはまったくの
デマも混ざっているものです。

だからこそ、わからないことがあれば、上司に素直に聞くのは良いことのはずです。
が、実際のところ、上司に直接聞きにくいこともあるのは事実だと思います。
「あの人は、なんで昇進したんですか?私より仕事ができるとは思えません」
などと直接意見できるほど、仕事に自信はありませんし、
「先輩が勤務中に私用でよく電話をしているみたいですが、いいんですか?」と
聞くのもなかなか勇気がいることです。
下手をすれば「何を言ってるんだ、お前のほうが仕事はできん!」と叱られたり、
「あれは、○○会社の社長と仲が良くて、話しているだけだ」と注意を受けたりしそうです。

上司にはっきり聞くことができない、そういう心理の裏には、
自分に対する自信のなさや弱さはあるように感じます。
また、同時に、お互いの信頼関係がないということもあるでしょう。

さて、「会社の実態を知るには、噂(うわさ)や横の情報だけに頼るのは間違いである。
しかし、上司に直接聞いてみたところで、はっきりわかるものでもない」という
設問の回答傾向は、次のようになっています。

そう思う   72.6%
わからない  18.7%
そう思わない  8.7%

なんと、7割以上の新入社員は、「上司に聞いても、会社の実態は、はっきりわからない」と
思っているのです。
この数値、67.4%から73.1%までの間をこの11年間、変遷していますが、
上昇、下降傾向があるわけではありません。
おそらく、その時々の企業不祥事や社会環境の影響を受け、変わる程度なのでしょう。

ちなみに、とある企業の中堅社員研修でのデータは次のようになっています。

そう思う   90.5%
わからない  1.6%
そう思わない 7.9%

うーん、困ったものです。どうして、こうなっているのでしょうか?

「上司に聞いても、会社の本当のことはわからない」と考えてはいけない、
ということを弊社の新入社員研修では、伝えるようにしています。

どうして、このように考えるのは良くないのか?というと、
・上司の発言のことごとくに「裏に何かある」と考えてしまうと、
 仕事に真剣に取り組めなくなる。
・本当のことは言ってもらえないので、上下の信頼関係がなくなる。
・「言っても無駄」と考え、社内で議論がなくなる。
というようなことが生じるからです。

上からの情報は得られない、だから、横の情報を信じる、うわさや横の情報が正しい、
というような思い込みは大変困ります。これは、ネットのうわさに頼るのと同じですね。
某スポーツ紙と同じで、その手のものは「?」付きの情報ですから、
あおりやねたみ、何らかの陰謀が混ざっていてもわかりません。
そこを読み解けるような「お・と・な」ならまだしも、
新入社員が横の情報に頼るようではさらに、困ります。

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