主観や感覚ではなく、数字でわかる合理的スタンスに依拠することが重要だ。

十分な妥当性を持つ人事施策を打てているかどうか

「定量分析に基づく合理的な人事制度設計」
企業の管理部門のなかでも、人事は経理やシステムや法務といったほかの分野に比べ、残念ながら未発達だといわれている状況だ。その背景のひとつは、用語がきちんと定義されておらず、あいまいだということがある。システムの仕事をすると、サーバはサーバ、PCはPCだし、概要設計や詳細設計といった開発の手順を示す用語も業界で共通のものが使われている。ところが、人事の世界では、社員の身分や能力を示す制度は、等級制、グレード制など会社によって呼び方がさまざまだ。給与、賃金、給料といった言葉も統一されておらず、給与とは月給だけ示すのか、賞与、退職金まで含むのかといったことも会社ごとに確認しないとわからない。

 そして、人事施策を打とうとしたとき、人事制度を作るにも、どのような理論や考え方で仕組みを作ればいいのか、その理論や考え方が世の中一般で検証されていないし、十分な妥当性を持っているかどうか、なかなか判断できない。これも人事の分野の特長で、大きな問題だと考えている。経営における人事管理の重要性、人事制度改革の必要性がますます強調されるようになってきたなか、あいまいな用語、正しいかどうかよくわからない理論や考え方に基づいて人事施策を打っていていいのかどうか。いま、強烈な見直しがかかっている時期だと思っていただいていい。

自社の人事上の問題・課題を正確に把握するためには

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