「自立型」のメンバーをつくり、強いチームをつくる要素の一つ目、「共通目標を掲げる」についてです。

先日、テレビのビジネス番組を見ていると「悩める食品スーパーの店長」が登場していました。店舗のスタッフにまとまりがなく、ミーティングで意見を求めても誰も発言をしない・・・。店長としても自信が持てなくなっていました。
そこで彼は意を決してスタッフを集め、自分の思いを語りました。
「私もそれに賛成です」「皆でもっと話し合う場を持ちましょう」等々。場の空気が一変したのです。画面で見ていた私も、感動を覚える瞬間でした。
スタッフは、インタビューで「店をもっと良くしたいと、気持ちが熱くなった」「皆でがんばって行きたい」と活き活きと語っていました。

皆さんのチームには、共通目標はありますでしょうか?
皆で一つの目標を追い求めることで、団結力が生まれ、コミュニケーションも促進されます。何より、それを達成できた時に喜びを分かち合えます。
それこそが、強いチームをつくる第一歩なのです。

では、共通目標はどのように作ればよいのでしょうか?
もちろん、リーダー(上司)が自分で作成し、「みんな、これをやろう!」と熱く語ることでも良いかと思います。リーダーの思いが伝われば、「みんなで何とか達成しよう!」と盛り上がることも大いに期待できます。

しかし、ともすると「それは、リーダーが勝手に考えたことだから・・・」とやらされ感を持つメンバーが出てくることも予想されます。
そこで、最も良い方法はリーダーとメンバー全員で一緒に共通目標を考えることです。
リーダーが、「もっとチームを良くしたい」「一緒に成果を挙げて喜びを分かち合いたい」と言ったメッセージを送り、その後一緒に目標を考えるのです。

その際は・・・
(1) お客様は我々に何を求めているのか?
(2) そのようなお客様に我々はどのようなサービスを提供する必要があるのか?
(3) (2) について、どのようなレベルを目指すか?
上記のようなプロセスで考えるのが一般的です。しかし、チームで色々と話し合った結果、リーダーが考えていたものよりも少しレベルが低い内容になるかもしれません。

結論から言いますとそれでもいいのです。
皆で考えた目標をみんなで追い求めるということそのものに意味があります。自分達でつくった目標でしたら、「何とか達成したい」という気持ちになり、自立型の行動が期待できます。

では、共通目標を掲げたらそれで終わりで良いのでしょうか?
どうしても、日々の仕事に忙殺され、目標が頭から離れてしまうことがあります。
それを防止し、常にみんなの心を一つにするためには、共通目標を意識付けする場を設けることが大切です。

(1) 共通目標を常に口に出す

まずは、リーダーが朝礼やミーティングの際に、共通目標を意識的に口に出し、メンバーの心に繰りかえし刷り込みを行います。また、皆で昭和する等の行動も良いでしょう(少し古臭い方法ではありますが・・)。企業のトップは、何度も会社のビジョンや理念を話します。「それは、前聞いたよ・・」と思う人も多いようですが、これで意識への刷り込みを図っているのです。

(2) チェックの場を設ける

ミーティングなどの際に、共通目標に対して行動ができているかどうかを定期的に話し合う場を設けることが大切です。できている点はお互いに讃えあい、できていない点については、「何が足りないのか?」「どうすれば解消できるのか?」を皆でアイデアを出し合いながら話し合うのです。

常に共通目標をモノサシに話し合いを行っていれば、みんなの意識が再び一つになり、目標への意欲が継続します。
かのリッツカールトンでは、「クレド」という行動指針を全従業員が常に携帯しています。そして、そのクレドの中の一つ一つにつき、毎日のように話し合いを行っています。これが、リッツカールトンが世界でも最高レベルのサービスを提供できている秘密の一つであると言われています。
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