経団連が7月18日に2017年労働時間等実態調査集計結果を公表した。これは249社(対象労働者110万4,389人)の回答をもとに、年間総労働時間、時間外労働時間、年次有給休暇取得率や、商慣行や職場慣行と長時間労働の要因、その改善策の調査結果をまとめたものである。
働き方改革に欠かせない時間管理能力

商慣行と職場慣行の現状と対策の結果


働き方改革に欠かせない時間管理能力
長時間労働の原因は様々であるが、上の表を見ていくと、時間管理に関する項目が多いことがわかる。

時間管理能力は改善策の基本

時間管理について、P.F.ドラッカー氏は「組織において成果をあげる人」にからめて、以下のように説明している。

「成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。しかし、組織というものが最近の発明であるために、人はまだこれらのことに優れるに至っていない」

そして、成果を上げる5つの方法には、時間管理、貢献、強み、集中、意思決定がある。時間管理とは、何に自分の時間がとられているかを知り、時間を体系的に管理する能力、としている。

具体的なポイントをチェックしてみよう。

1. 知識労働においては時間の活用と浪費の違いは成果と業績に直接現れる
2. 成果をあげる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする
3. 一般に、人は時間を管理する用意が出来ていない。時間を管理するには、まず、自らの時間をどのように使っているかを知らなければならない
4. 知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録すること
5. 時間を記録して分析し、仕事を整理するならば、重要な仕事に割ける時間を把握できる
6. 時間の記録を一瞥しただけで、重要なこと、したいことに使える時間の全くないことが明白になる
7. 次は、体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除する。すべての仕事について、全くしなかったならば何が起こるかを考える。何も起こらない場合はその仕事は直ちにやめる
8. 成果をあげるには、自由に使える時間を大きく纏める必要がある。大きく纏まった時間が必要なこと、小さな時間は役に立たないと知る
9. 時間を纏めるための具体的な方法よりも、時間に対するアプローチの方が遥かに重要だ。ほとんどの人は、二次的な仕事を後回しすることで自由な時間を作ろうとする
10. 時間の管理は継続的に行う。継続的に時間の記録をとり、定期的に仕事の整理をしなければならない
(参考文献:マネジメントの原点、プロフェッショナルの条件、抄訳マネジメント、非営利組織のマネジメント)

このポイントの3の現状を知るには、一定期間の業務を棚卸し、スティーブン・R・コヴィーの時間のマトリックスで分類するのが効果的だ。
働き方改革に欠かせない時間管理能力
ここで重要なのはBゾーンの割合だ。しっかりと目標や計画を立て、準備を整えることで、時間管理は大幅に改善されることもあるだろう。 

長時間労働の是正と業務の質や量の維持は、多くの企業にとって喫緊の課題である。もちろん個々人の努力は大切だが、企業としての取り組みも必要だ。いま一度、時間管理の意識を見直してみてはいかがだろうか。
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