昨今、顧客の人事部や事業部の管理職の方々とお話していると「コミュニケーションスキルの高い人材がほしい」「社員のコミュニケーションスキルを高めたい」という声を多く聞きます。書店でも、コミュニケーションについての本は多く出ており、年間ベストセラーに何冊も入っています。
そのようなトレンドの中、常に立ち止まって思うことは、『会社の中での「コミュニケーション」の定義についての見解と範囲が一致しているのだろうか?』という事です。
仕事におけるコミュニケーションスキルを高めるには?
会社の中では、様々な考えの人々が一緒に仕事をしています。また、グローバル化が進むにつれて、その国籍も多種多様になってきました。こうした状況下で、コミュニケーションを広義に捉えたまま「コミュニケーションスキルを高めること」を目指しても、実現が難しいとは思いませんか?

「なぜ、コミュニケーションスキルを高めたいのですか?」と質問すると、「仕事をする上でのコンフリクト(衝突や対立)を少なくしたい」という声を良く聞きます。
仕事をしていく上で、価値観や意見が異なることは珍しくありません。このような場合に話し合うための目的に立ち返る土台が無いと、議論が拡散してコンフリクトは大きくなります。様々な人々の意見をまとめ、仕事の目的に合ったより良い決断を導き出すためには、土台となるフレームワークが必要なのです。
つまるところ、仕事における「コミュニケーションスキル」とは、「コンフリクトを少なくして、仕事を効率的に進めるためのスキル」と言い換えてもいいかもしれません。

コミュニケーションの土台となる、KT法とは

今回、仕事におけるコミュニケーションスキルを高めるツールとしてご紹介するのが、ケプナー・トリゴー法です。日本ではKT法と言われており、仕事をする上でのコミュニケーションツールとして多くの企業に導入頂いております。

では、なぜKT法が仕事をする上でのコミュニケーションツールとして有効なのでしょうか。
まずは、KT法の生まれた背景を探っていきたいと思います。
ケプナー・トリゴー法の創設者であるC・ケプナー(社会心理学博士)とB・トリゴー(社会学博士)は、1950年代にランド・コーポレーションに勤務していた時に、NASAで働いている人達の意思決定の事例を詳細に調べる機会がありました。
調査の結果、彼らは「正しい意思決定」は、職位やキャリアによってなされるのではなく、行動に移る前に情報収集・整理・分析する、という一連の論理的なプロセスを経ることによってなされていたことを発見します。このNASAでの調査結果をもとに、二人は引き続き、ビジネス上の重要な問題に適用できる思考プロセスを分析し、開発することに情熱を注ぎました。この数千時間にも及ぶ研究の結果が、「ラショナル・プロセス(合理的思考プロセス)=ケプナー・トリゴー・メソッド(KT法)」として体系化され、企業組織に有効な思考プロセスとして浸透したのです。(※彼らの著書の『ラショナル・マネジャー』(McGraw Hill, 1965年)はビジネス書としてまとめあげられ、世界の主要言語に翻訳されています。)
つまりKT法とは、最適な行動を取るために、どんな状況下においても、行動に移す前に必要な情報を十分に集め、それを分析してから行動にうつす、ということです。

では実際に、KT法をコミュニケーション手段として用いることで、どういった効果が得られるのでしょうか。導入企業からは「仕事の効率が上がった」「無駄な議論が少なくなった」「感情に任せたコミュニケーションによる衝突が少なくなった」という声があがっています。

次回は、KT法の具体的な活用法についてご紹介いたします。
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