新人の配属を、強いチームへの変革チャンスにするために、前回の記事では配属前に職場で準備することをお伝えしました。
配属される前の準備をしっかり行えば、新人が職場に対する良い第一印象を持つことにつながり、高いパフォーマンスを発揮する土台ができます。
 今回は、新人が配属された後に、どのように新人に接することが、チームに良い影響を与え、強いチームづくりにつながるかを考えていきます。
 キーワードは「安心感」です。新人は、職場に対して安心感を得ることで、自然体で仕事をすることが出来るようになります。すると、その人の個性が際立ち、そのチームに新しい風を吹かせることが出来るのです。
 では、配属された後にどのようなことを意識する必要があるかを整理します。

(1)初日に必ず朝礼で自己紹介をしてもらう
配属日の朝に、必ず朝礼を行い、自己紹介をしてもらいましょう。皆さんも経験があるかもしれませんが、周りから「あの人誰?」という目で見られている状況が最も居心地の悪い状況であり、安心感が得られません。できれば、自己紹介をしてもらったら私たち上司が、その新人に対する期待や、プチ情報などを捕捉して話すことで「受け入れてもらえている」「期待してくれている」という安心感がさらに増します。

(2)名前で話しかける
「新人さんちょっといい?」とか、「えっと、名前なんでしたっけ?」などという働きかけをすると、仲間に入れてもらえていないという感覚になります。「田口さん、ちょっといいですか?」と、名前で呼ばれると仲間として受け入れられているという意識が高まり、安心感につながります。

(3)意図的にミーティングで発言させる
新人はミーティングに参加しても、「まだ新人だから・・・」と遠慮して何も話さない人が多いようです。しかし、それでは個性は発揮できません。上司である私たちが、「田口さんの意見も聞かせてもらえませんか?」と指名し、発言してもらいましょう。そこで、発言した内容を熱心に傾聴し、「確かに」「その意見は取り入れよう」などと肯定をすることで、安心感が高まり、次回から発言しやすくなります。新人の意見はこれまでのメンバーにない要素を含んでいることも多く、より強いチームになるためには貴重な意見です。

(4)いろいろなメンバーに新人を指導させる
現在は、「OJTリーダー」や「エルダー」といった、新人の指導役を任命している企業を多く見かけます。非常に効果的な制度ですが、ともすると指導役が固定されてしまい、多くのメンバーとコミュニケーションをとる機会を逸する可能性があります。OJTリーダーが基本的に指導を行うことで問題ありませんが、適宜他のメンバーにもつかせて指導をしてもらうことをお勧めします。チームのすべての人と円滑にコミュニケーションが取れる状況ができれば、ぎくしゃくすることなく安心感を持って業務にあたることが出来ます。また、チームメンバーが新人に良い影響を受ける機会にもなります。

(5)1年後をイメージさせる
今の新人(特に新卒)は大人しいといわれますが、実は貪欲に成長したがっている人が多くいます。「この職場で自分は成長できるのか?」ということを常に考えながら仕事をしているのです。そこで、上司と新人の面談で、「1年後にどうなってもらいたいか」を具体的に伝え、そのためにどのような仕事をし、どのような力をつけてもらいたいかを話し合います。自分のあるべき姿が見えれば、安心感が高まり、前向きに活き活きと動き、チームに良い風を吹かせることが期待できます。

 新人の配属を強いチームづくりのチャンスにするためにも、配属前(前回の記事)と配属後(今回の記事)を意識し、チームメンバーが新人から良い影響を受けやすい状況をつくってください。
  • 1

この記事にリアクションをお願いします!