安倍政権が推進する「働き方改革」の柱のひとつが「長時間労働の是正」であり、厚生労働省は「過重労働解消」という言葉で是正を促進しています。日本社会では伝統的に長時間の残業を前提にした労働慣行があり、その労働慣行を元に商慣行も形成されてきました。結果として、今となっては多くの企業で残業が常態化しており、HR総研「『働き方改革』取り組み状況に関するアンケート調査」でもその実態が裏付けされました。本記事では、HR総研の調査結果と、社会保険労務士の村上剛久氏が解説する過重労働対策の秘訣をご紹介します。
見過ごせない企業のリスク「隠れ過重労働」を今すぐチェック!

過労死ライン「月間80時間の時間外労働」企業が過半数

HR総研の調査は、残業・過重労働などの実態と対応について企業人事にアンケート調査したもので、244件の回答を得ています。
現在の労働行政では、月間80時間の時間外労働が過労死ラインとされていますが、月間80時間以上の残業をする社員がいる企業は54%と半数を超えています。

【月間80時間以上の残業をする社員がいますか】
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さらに月間80時間以上の残業がある企業に、最多となる月間時間外労働時間を聞くと、「80時間から100時間未満」が68%、「100時間~130時間未満」が26%であり、かなり多いと言えます。

過労死に至る会社はわずかですが、実際は過労死するほど働いている実態があると言えます。

【月間時間外労働時間(最多時間)】
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国会で36協定の上限時間の設定と罰則を盛り込む労働基準法の改正が議論されており、規制や取締りが強化されるのは確実とみられています。
労働基準監督署の是正指導や健康障害に対する損害賠償を迫られる前に是正をすることが必要となります。

自社に潜む「隠れ過重労働」をチェック!

多くの企業では「できれば残業時間を削減して、高止まりしている人権費を低減したい」「過労死などの労災事故を防ぎたい」と考えています。

しかし一方で、「過労死や健康障害に至るほどの過重労働はないので、今すぐに是正する必要はない」とも思っているのではないでしょうか。

過重労働である企業には、一定の兆候や傾向が見受けられます。以下のチェックリストで自社の傾向をチェックしてみましょう。あてはまる傾向がある場合には、実は「隠れ過重労働」である可能性があります。



あてはまる状態がないか、自社の傾向をチェックしてみましょう。
チェックが多かったエリアが自社の「隠れ過重労働」タイプになります。

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過重労働対策を成功させる秘訣

5つのタイプでは、残業時間が発生する原因が異なります。自社のタイプに応じた原因を認識して、適切な対策を講じることが重要です。また、人事総務部門が中心となって問題点を明らかにして、会社全体が総力を挙げて継続的に問題解決に取り組める仕組みが必要です。

タイプ別の過重労働解消法を詳しく解説したガイドブックをご用意していますので、ぜひ参考にして明日からの改善にお役立てください。
<著者プロフィール>
社会保険労務士法人 迫田・村上リーゼンバーグ
合同会社 労務トラスト
代表社員 村上 剛久


特定社会保険労務士・メンタルヘルス法務主任者
中小企業を中心に労働時間のマネジメントや業務プロセス改善による労働時間削減コンサルなど戦略的な人事・労務コンサルティング行っている。また、独立行政法人労働者健康安全機構のメンタルヘルス対策促進員の活動等を通じて大企業から零細企業まで150社以上の職場のメンタルヘルス対策の導入・実施支援を手掛けている。



※ダウンロード資料の公開は終了しました。
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