平成27年12月から義務化され、本年の11月30日までに実施しなければならないストレスチェック制度。
実施はしたものの、その後の対応をどのようにしたらよいのかとお困りの企業も多いようです。
ストレスチェックによって浮かび上がってきた問題をどう解決するのか、企業にはその具体的な対策を考え、職場環境改善に取り組むことが求められます。
(提供:株式会社ブレインコンサルティングオフィス)
ストレスチェック実施後に現場で直面する問題と対処法

ストレスチェックの実施に伴う課題

ストレスチェックを受けた社員は、「受けたからには、会社は何かしてくれるのだろう」と期待します。法律で義務付けられているストレスチェックの実施と分析だけで終わらせてしまえば、却って社員の不満の要因になりかねず、また、翌年の受検率が下がってしまったり、真剣に回答しなかったりとの危惧もあります。

健康診断で1年に1度は体のメンテナンスをするのと同じように、心のメンテナンスのきっかけとしてのストレスチェックであることを考えれば、社員にはぜひ、受検してもらいたいものです。

そこで、ここではストレスチェック実施後に、実際企業が直面している問題や注意点を解説します。

ストレスチェック実施の肝は「情報管理」と「受検者の立場に立った運用」

実施後の注意点として、第一に情報管理が挙げられます。

ストレスチェックの結果は、個人情報の中でも機微な情報(要配慮個人情報)として、実施者または実施事務従事者のみが扱います(高ストレスで医師の面接指導が必要と実施者が判断し、本人が希望した場合の個人結果を含む)。

個人情報保護法に則り、社員本人から開示請求のあった場合の手続き方法や、苦情処理の窓口を明確にし、周知しておくことも必要です。
また、社員が高ストレスの状態で放置されないよう相談窓口を広げたり、産業医等の産業保健スタッフが、日常的な健康管理活動の中で相談対応を行ったり、必要に応じて面接指導後もフォローアップする等の体制の整備をしましょう。

このように、受検する社員の側の立場に立った運用基準を整えることで、社員もストレスチェックを受検しやすくなります。同時に、ストレスチェックに対する会社の前向きさも伝わり、社員のモチベーションアップにつなげるといった効果も期待できます。

ストレスチェック実施後に結果を生かすために

第二に、集団分析の結果を職場環境の改善に結びつけることです。

ストレスチェックを実施したら、その結果を全体的な職場改善につなげていくために、職場ごとに集団分析を実施します。集団分析では、次のような項目についてチェックをしていきます。

<集団ごとの集計・分析の把握のための項目例>
□ 受検率
□ 高ストレス者の割合
□ 医師の面接指導対象者の割合
□ 医師の面接指導の実施数・割合
□ 仕事の量的負担
□ 仕事のコントロール度
□ 上司の支援
□ 同僚の支援

こうした項目について、データとして集計・分析していくことで自社の働き方やメンタルヘルス対策についての課題が見えてきます。ストレスチェックの結果を職場改善に活かさず“ただ実施した”のでは、時間をかけて受検した社員の反感を買うことにもなりかねません。
集団分析の結果をもとに自社にとって必要な対策を衛生委員会で審議し、ストレスチェックの集団分析をもとに研修を実施するなど、実施後の対応も見据え、職場環境のさらなる改善を目指して次年度につなげていきましょう。
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