HR総合調査研究所が、2013年10月28日~11月6日にかけて実施した「人事支援サービスに関するアンケート調査」の結果を領域別に各企業の予算動向や課題、今後より求められるサービスについて報告する。有効回答は305社。第4回の領域は「アセスメント/サーベイ」。

企業規模に比例する社員・組織診断実施率

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

アセスメントツールを利用しての社員・組織診断の実施状況を聞いたところ、大企業39%、中堅企業29%、中小企業15%と、企業規模による違いがはっきりと表れた。ただし、アセスメント予備軍となる「実施を検討中」企業は、企業規模に関係なく6-7%という結果に。今後、実施企業の増加が見込まれる市場といえる。

図表1:社員・組織診断の実施状況

大企業の4割は年間予算500万円以上

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

アセスメントにかける年間予算は、診断内容はもちろんながら、受験する従業員数に比例するため、企業規模による差が実施率以上に開く結果となった。中小企業の79%、中堅企業の50%はアセスメントツールにかける年間予算はわずか20万円未満にとどまるのに対して、大企業の4割近くは500万円以上をかけている。1000万円以上かけている企業も13%ある。

図表2:アセスメントツールにかける年間予算

企業規模により異なる診断傾向

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

ではアセスメントツールを利用して、どんな診断をしてるのであろうか。ここでも企業規模による違いがはっきりと表れた。
全体では「満足度」38%、「職務スキル・能力」34%、「モチベーション」30%となっているが、大企業は「職務スキル・能力」が50%とかなり高くなっている。一方、中堅企業では「職務スキル・能力」はわずか9%しかなく、「満足度」が55%と最も高く、次いで「モチベーション」が36%と高くなっている。
中小企業は「職務スキル・能力」と「モチベーション」が36%で並んだ。
大企業では7%あった「グローバル」診断は、中堅・中小企業ではゼロという結果になった。グローバルへの対応の遅れがうかがえる結果である。

図表3:現在の診断内容(全体)

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

図表4:現在の診断内容(大企業)

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

図表5:現在の診断内容(中堅企業)

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

図表6:現在の診断内容(中小企業)

今後の以降では「モチベーション」「マネジメント」が上位に

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

今後、利用してみたいアセスメントツールでは、「モチベーション
」が44%でトップ、次いで「マネジメント」39%、「組織活性」36%、「職務スキル・能力」35%と続く。特に「組織活性」は現在の実施率13%と比べると3倍近いポイントとなっている。

図表7:現在と今後の比較(全体)

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

企業規模別にも特徴があり、大企業では上位の「満足度」「マネジメント」は現在とほとんど変わらないポイントなのに対して、4位の「組織活性」、5位の「モチベーション」は大きくポイントをあげている。
一方、現状ではトップだった「職務スキル・能力」は大きくポイントを下げている。

図表8:現在と今後の比較(大企業)

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

中堅企業では、「組織活性」が大きくポイントを伸ばしているほか、「マネジメント」「経営人材」「職務スキル・能力」がポイントを伸ばし、「満足度」は大きくポイントを落とす結果となっている。

図表9:現在と今後の比較(中堅企業)

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

中小企業でも「組織活性」が大きくポイントをあげている。トップは「モチベーション」で、56%と、全カテゴリーで最高のポイントを獲得している。現状ではゼロであった「グローバル」であるが、中堅・中小企業ともに関心がある企業が現れている。

図表10:現在と今後の比較(中小企業)

サービス選定のポイントは、「価格」が「診断内容」をわずかに上回る

「人事支援サービス【アセスメント】に関するアンケート調査」結果報告

今後、新しくアセスメントサービスを採択する際の決め手を聞いたところ、アセスメントの命ともいうべき「診断内容」が58%と高いポイントを獲得したものの、「価格」が61%とわずかに上回る結果となった。
その他、「コンサルタント」「結果の見やすさ」がともに45%と高いポイントを獲得している。「結果判定までの時間」は、9%とそれほどは高くない。採否を決める適性検査との違いがここでははっきりと出ている。

図表11:サービス選定のポイント

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