「HR総研人事白書2016」人材育成に関する調査結果【4】キャリア研修課題は「各人のキャリアの展望の明確化」

HR総研
公開日：2016/09/08

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企業内人材育成の構成としては、階層別研修とテーマ別の研修に大きく分けられる。今回から4回にわたってテーマ別研修について、HR総研のアンケート調査結果を紹介する。
今回は「キャリア研修」。キャリア研修を実施している企業は全体の35％にとどまり、企業規模が大きいほど実施率が高く、中小では実施率が低い状況だ。「キャリア研修」受講者の課題の第1位は「各人のキャリアの展望の明確化」だった。

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キャリア研修の実施率は35％　メーカー系は企業規模で大きな差

キャリア研修の実施状況を聞いたところ、実施している企業は全体の35％にとどまり、実施していない企業のほうが圧倒的に多い。企業規模別に見てみると、「1001名以上」では53％が実施しているのに対し、「300名以下」では21％しか実施していない。
またメーカー系では、「1001名以上」が52%、「301名～1000名」が56％の実施率となっているが、「300名以下」になると8％にまで低下し、大きな差が見られる。

〔図表1〕キャリア研修の実施

対象者の年齢層は30代が中心。社員の中高年化が進む大手では50代も

キャリア研修の対象者の年齢層は、全体では30代が61％と最も多く、20代と40代が49％でそれに続いている。企業規模別に見ても、「1001名以上」と「300～1000名」は30代が最も多く、「300名以下」は40代が多い。また50代を対象としたキャリア研修は、大手が圧倒的に多く、中堅中小はあまり行っていない。30代を対象とするキャリア研修はマネジャー養成を目的とするものであるが、50代を対象としているものは、社員の中高年化への対応という背景があり、同じ「キャリア研修」でも実際の中身は異なっているだろう。

〔図表2〕キャリア研修の対象者の年齢層

課題は「各人のキャリアの展望の明確化」

対象者に対して抱えている課題としては、「各人のキャリアの展望の明確化」（59％）が最も多かった。そして「能力開発の必要性の認識」（55％）、「自己のキャリアの強み・弱みの確認」（52％）、「モチベーションの向上」（45％）が続く。

具体的な課題の内容は、年齢層によっても異なり、若手に関しては、「能力開発」、「自分のなりたい姿を具体的に描かせる」など、ミドル・シニア層に関しては、「今後のキャリアプランの策定」、「強み・弱みを把握し、強みを活かした能力向上と役割遂行」、「マンネリ化や成長に対する情熱が薄れてきている。自力でモチベーションを維持できるようにさせたい」といったコメントがあった。また「会社が対象者に対してキャリアプランを示せていない」といった組織としての課題も目立った。

〔図表3〕キャリア研修対象者に対して抱えている課題

大手は「強み・弱みの把握」を重視。中堅は「キャリアプランの作成」に注力

キャリア研修の内容について聞いたところ、「強み・弱みの把握」（63％）が最も多く、「キャリアプランの作成」（56％）、「過去のキャリアの棚卸」（37％）、「環境変化の理解」（33％）がそれに続いた。しかし企業規模別に見ると、「1001名以上」では「強み・弱みの把握」が多かったものの、「301名～1000名」では「キャリアプランの作成」が最も多かった。
具体的な内容としては、「対象者が自分の強みや弱みを自己分析して把握」、「経験を振り返り記述。その中で強み弱みや自身の志向を確認。将来的に身につけたいものや、ありたい姿についても考えたうえでグループ内で発表」、「技術習得に対する興味の薄い若手が増えてきたため、世の中の技術動向や先輩エンジニアたちのキャリア紹介、資格取得支援などを行っている」、「グループディスカッションを通じ、他者の意見も参考にしながら、客観化・独自性を各自で考えてもらっている。内容によっては、ツール・ワークを通じて理解を深めている」といったコメントが挙げられている。

〔図表4〕キャリア研修の内容