HR総研では、2016年卒採用についての中間総括アンケートを採用担当者を対象に2014年12月に実施した。「採用選考に関する指針」によって採用活動時期の変更を求められる2016年卒採用の現状をシリーズでレポートしていく。最終回のテーマは「採用スケジュール」について。

自社セミナー・説明会は解禁と同時にほぼ開催ピークに

2016年度新卒採用にて、自社セミナーを開催する予定の月を聞いたところ、全体での最多回答は「2015年4月」の57%、次に「2015年3月」「2015年5月」がともに53%となった。3月1日の採用広報解禁とともに、いきなり自社セミナーの開催がほぼピークに並ぶこととなる。前年の12月解禁では、解禁月は、ナビからのプレエントリー、学内企業セミナー、合同企業セミナー等による母集団形成期ととらえられており、12月に自社セミナーを開催する企業は全体で18%、大手企業だけで見ても26%にしか過ぎなかった。自社セミナーの開催は、後期試験が終了した2月から本格化したものだった。今年の3月は、ナビオープン、学内・合同企業セミナー、自社セミナーと企業は今までにない慌ただしい日々を送ることになりそうである。
なお、中間報告【1】で報告したように、インターンシップのピークは2月となっており、インターンシップとセミナーの開催合計数は、2月と3月はほぼ等しくなっている。2月のインターンシップには、名称こそインターンシップと銘打ちながらも、実質的にはセミナーに近いものも多そうである。


[図表1]インターンシップと自社セミナー・説明会開催時期

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

なお、2014年11月に実施した「学生の意識調査」にて、企業は新スケジュールに沿った採用活用をすると思うかどうか調査した際、「多くの企業が守ると思う」と答えた学生15%、「大手企業は守ると思う」と答えた学生は43%に上った。特に理系学生においては、半数以上(53.4%)が「大手企業は守ると思う」と回答している。


[図表2]企業は新スケジュールを守ると思うか(学生調査 2014年11月実施)

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

メーカー・非メーカーで異なるセミナー開催時期

多くの理系学生に「スケジュールを守る」と思われている「大手企業」(従業員規模1001名以上)の自社セミナー・説明会開催時期を見ると、メーカーでは「3月」「4月」で開催する企業が6割を超え、5月以降は縮小傾向にあるが、非メーカーでは「5月」が58%でピークであり、両者は異なる傾向にあることが分かった。


[図表3]セミナー開催月(企業規模1001名以上)

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

メーカー大手の選考開始は7月以前が6割

面接(選考)開始時期はどうなるだろうか。
まず、メーカーについて。大手企業では、最多回答は「8月」(31%)ではあるが、「4月」と回答する企業も22%あり、2015年7月以前に開始すると回答している企業は合計すると6割近い(59%)。
一方、中堅企業(従業員規模301~1000名)では、面接開始を「2015年4月」とする企業が最多(37%)であり、「2015年8月」以降との回答率はわずか9%に留まった。


[図表4]面接開始時期(メーカー)

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

非メーカー大手の選考開始は7月以前が8割強

次に非メーカーを見てみる。大手企業では、「2015年3月から」が29%で最多回答、次いで「2015年6月」が25%となった。「8月以前」に選考を開始する予定の企業は実に83%に上り、「2015年8月以降」に選考を開始する企業は2割もない。
中堅企業では、「3月」(28%)、「4月」(26%)が面接開始のピークである。中小企業(300名以下)も面接開始のピークは「3月」(22%)、「4月」(28%)であるが、他規模の企業と異なり、「2015年1月」以前から面接開始をしている企業も10%あることが分かった。


[図表5]面接開始時期(非メーカー)

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

内々定の開始時期、メーカーでは8月、非メーカーでは4月が最多

内々定出しの開始時期を聞いたところ、メーカーの最多回答は「8月」(28%)、次いで「5月」(18%)、7月(17%)であるが、
非メーカーでは、「4月」(23%)が最多で「5月」「6月」「7月」と減り続け、「8月」(22%)に2回目の山が来ている。面接開始時期が異なることから、連動して内々定出しのタイミングも異なる傾向であることが分かった。


[図表6]内々定の開始時期

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

早期選考開始するもじっくり時間をかけるメーカー大手

メーカーを企業規模別にみると、「4月」に面接開始のピークを迎える中堅企業においては、内々定を出し始めるピークは「5月」で34%を占める。
選考開始のピークが「8月」である大手企業では、内々定を出し始めるピークも「8月」(41%)だ。しかし面接開始は「4月」と回答した企業は22%であったが、「4月」「5月」に内々定出しをすると回答している企業は15%に留まっていることから、4月に選考はスタートするものの、内々定出しまでは時間をかける企業が少なくないことが伺える。


[図表7]内々定の開始時期(メーカー・規模別)

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

非メーカー大手の3分の1以上が4月までに内々定開始

非メーカーにおいては、大手企業で内々定開始時期の最多は「4月」と「8月」で、ともに回答比率が25%を占めている。3分の1以上の37%の企業が4月までに内々定を出し始める。
中堅企業では、「8月」26%、「4月」24%と、「8月」が若干上回っている。
中小企業では、「4月」21%、「5月」22%と、「8月」を待たずして内々定出しを予定している企業が多い。


[図表8]内々定の開始時期(非メーカー・規模別)

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

内定式分散により、「踏絵の日」が消滅

内定式の開催予定時期を聞いたところ、「10月上旬」と回答した企業が最多ではあるものの、全体の53%にとどまる。逆に言えば、半数近い企業が「10月中旬以降」に開催、あるいは「決めかねている」ということである。
大手企業でも、「10月上旬」と回答した企業は70%にとどまり、「10月中旬以降」が23%、「未定」とする企業が7%であった。中でも「12月上旬」とする企業が9%と多くなっている。中堅・中小企業では、「未定」とする企業が3割程度あり(中堅企業30%、中小企業32%)、新スケジュールの下、採用活動の長期化によって内定式を先送りにするケースが多くなりそうだ。
これまでは多くの企業の内定式が「10月1日」に集中したため、重複内定を保有する学生もこの日までには最終決断をする必要があったが、内定式が分散した場合、他社の内定を保持したまま内定式に参加するケースは発生すると考えられる。


[図表9]内定式開催予定時期

「2016年新卒採用 中間調査」結果報告【5】

【調査概要】

調査主体:HR総研(HRプロ株式会社)
調査対象:上場および未上場企業の2016年度新卒採用担当者
調査方法:webアンケート
調査期間:2014年12月15日~12月25日
有効回答:251社(1001名以上:56社、301~1000名:81社、300名以下:114社)

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