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ストレスチェックはどんな意味があったのだろうか?

2017/03/01

2015年12月より労働安全衛生法が改正され、企業に従業員に対してストレスチェックを実施することが義務付けられた。このストレスチェックは、どんな意味があったのだろうか。

2016年11月30日が第一回ストレスチェック制度義務化の実施期限であった。当事務所と当法人でも約630社10万人のストレスチェックを実施した。そこで感じたストレスチェック実態や意義を、受検率、高ストレス者の割合の観点から述べていきたいと思う。

受検率からわかること。受験率アップのポイントは?
 会社によってばらつきは大きくあるものの、全体的な平均値としての受験率は80%台であった。もちろん100%という企業もあった。最も少ないところで40%台の企業もあった。
 受検率からわかるのは、従業員が会社をどの程度信頼しているかということだ。受検率がバロメータの一つになるわけである。
 普段から会社への信頼感が高い会社では、回収率も回答率も良い傾向があるようだ。逆に会社のことを信頼していないという状況では、回収率も回答率も低いと言える。
 さらに、まだ統計的には検証していないが、会社への信頼感が高いほど休職者の発生割合も少ないという印象がある。

 会社としては、初年度まずストレスチェックを実施し、回答率や回収率が低い(8割を切る)ようであれば、どうしてそのような結果になったのかを検討することで次の一手につなげることができるのではないだろうか。
 また、今年の結果がよかった会社も油断は禁物だ。ストレスチェックを実施するだけ実施して、その後何もやらない会社は、従業員からやっても仕方がないと思われて、翌年の率が低下してしまうことも考えられる。
 初年度より来年の率が良くなるよう施策を考えていくことが大切であると言える。

 ここで、受験率アップに向けたポイントをご紹介しよう。

@プライバシー保護がきちんと担保されていること
 個人のストレス状況というのは、高度なプライバシーであまり会社に知られたくないという人が多くいる。自身の状態が悪いことを会社に知られてしまうと今の仕事から外されたり、なにか不利益な取り扱いをされたりするのではないかと心配することが多くある。そのような人でも受検してもらうには、きちんとプライバシーが確保されていることが大切である。
 また、会社は同意なく個人の結果を知ることができないということや、不利益な取り扱いをしないということをきちんと伝えておくことも大切だ。
 その意味では、ストレスチェック導入に当たって、衛生委員会の審議できちんと労使でプライバシーについてよく議論しておくことが大切だろう。今回の法改正でもかなり厳格に求められている要件となるため、ストレスチェック実施に当たって必須事項といえる。

Aストレスチェックが何か特別なことではなく、当然のように定着していること
 定期的にストレスチェックを実施していると、そのうちストレスチェックは何か「特別なもの」ではなく、「当然のもの」として定着してくる。このようになるまで繰り返し、繰り返しストレスチェックを実施していくことが大切である。多くの企業では、1回目のストレスチェックよりも2回目、3回目以降のストレスチェックの方が、受検率が高くなる(逆に低くなっている場合は何らかの問題が発生しているので、対応が必要だ)。
 繰り返し当たり前のものとして実施し続けるというのが、案外大切なポイントとなる。

Bストレスチェック後の施策(相談窓口や面接等)がきちんと周知され理解されていること
 ストレスチェックは単に実施して終わりということではなく、きちんとその後の施策とリンクさせることが大切である。そのために、自身のストレスチェックの結果が悪かったときに気軽に相談できる窓口を設置したり、ストレスチェックの結果の読み取り方研修を実施したりといったフォローが大切だ。
 自分自身のストレスが高いと気付いても、それでおしまいでは何の意味もない。ストレスチェックをやりっぱなしにしないことが大切なのである。

C事業主が一貫して社員の健康に気を付けていることを表明していること
 事業主がきちんと社員の健康問題について考えている会社では、ストレスチェックの受検率が高い。例えば「安全なくして経営なし」と社員の安全を社是にしている会社では、メンタルヘルス対策に対しても労使ともに真摯に取り組んでおり効果も高い。
 普段から事業主の考えを表明しておくことが大切で、一貫性のある取り組みであることを伝える努力が必要だろう。

 以上が受検率を上げる4つのポイントである。しかしながら、目的がストレスチェックの受検率の向上だけになってしまうと、目的と手段が入れ替わってしまう。ストレスチェックをやるだけでは、何も会社は変わらない。あくまでもメンタルヘルス対策の、あるいは人が辞めない生産性の高い職場づくりの第一歩として導入するという考え方が大切なのだ。
高ストレス者の割合について
 次に、実施後のフォローについてご紹介しよう。
 厚生労働省労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルに基づく、高ストレス者の割合は約13%だった。厚生労働省では、当初10%程度を想定していたため、少し高い印象である。きちんとストレスチェックの意義が周知され、受検者がきちんと回答したことが考えられる。次年度以降も大体このぐらいの数字に落ち着くのではないかと考えられる。高ストレス者が15%を超える職場があれば、そこは通常よりも何か問題があると考えられる。



 ある企業では、特定の職場のみ高ストレス者が80%だった。そこでは、上司と部下が大変もめており雰囲気が最悪だということであった。このような場合には、ストレスが本当に高いのか、それとも上司への当てつけとして回答が意図的に曲げられているのか慎重に判断をしないといけない。

 高ストレス者がいる場合は、面接勧奨を少なくとも1回はすることが良いと思われる。なぜなら、高ストレス者の存在を知っていて(知っているのは実施者と実施事務従事者のみだが)、なにも対応しなかった場合は、何か問題が起きた場合に安全配慮義務を問われるからだ。そのためにも実施者との業務のすり合わせが大切であるといえる。


 まだ多くの企業でこのストレスチェックが義務化されたことを認識していない。本コラムを読んでぜひストレスチェックをうまく導入していただきたい。



Office CPSR 臨床心理士・社会保険労務士事務所 代 表
一般社団法人 ウエルフルジャパン 理 事
産業能率大学兼任講師
植田 健太
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