仕事をしているうえで、残念ながら休職に至るぐらい体調を崩してしまう方がいる。その様な時に、企業としてはどのようにすれば良いのか大変悩むケースが多い。会社によっては社長自らが直接対応にあたることも少なくない。またケースによって担当者が変わり、ある意味場当たり的な対応をとっている会社も少なくないように思う。

今回はそのような休職者との関わりにおいて、絶対にやってはいけないことを紹介したいと思う。
休職者との関わりでやってはいけないこととは

休職者との関わりでやってはいけないこととは??

休職者との関わりでやってはいけないこと、それは

「さまざまな関係者がバラバラに連絡をとる」


ことである。

休職者の関係者は社内にもたくさん存在する。

例えば
・上司
・同僚
・先輩
・後輩
・人事担当者
・産業保健スタッフ
・社会保険担当者

等である。それぞれがそれぞれのタイミングで休職者に連絡をとってしまうと、休職者は混乱してしまう。実際に見たケースだと、2日に1回ぐらいのペースで担当者が個別に連絡をとり、まったく心が休まらないというケースが存在した。内容も重複し、休職者からすると「なんだまたか」というような気分になったようである。休職期間中は、復職直前を除いて、できるだけ会社からの不必要な連絡は避けるべきである。せっかく療養しているのに、しょっちゅう連絡してしまうと、いたずらに療養期間を長期化させる懸念があるからである。

また、「Aさんに聞いたらこう答えたのに、後日Bさんに聞いたら反対のことを答えられた・・・」と、会社への不信感を芽生えさせることにもなりかねない。往々にして個別の担当者は、個人の見解と、会社の見解を混同して発言しがちである。

例えば「たぶん、配置転換とかかんがえてくれるんじゃないかな」などの発言である。担当者個人は、個人的な世間話のつもりで休職者と話しているのであるが、休職者は会社を代表して話していると混同し、その後のトラブルにつながるのである。また、会社を代表して対応しているというよりは、同僚あるいは仲間という意識が強く、不用意な発言につながるケースも散見される。きちんと専門の訓練を受けた担当者であれば、このような不用意な発言は避けるべきであると理解しているので、このような担当者が対応する分には、トラブル防止のためにも非常に良いと言える。また担当者を統一することで、対応に一貫性が出て、ケースごとの対応が異なるといった不満も防止することができる。

不要なトラブルを避けるためには。

このような事態を避けるため、休職期間中の連絡先を一本化し、社内と休職者本人とで共有しておくことがとても大切である。そうすれば、いざ休職者から連絡をとろうと思った時も、誰に連絡をとればよいのかわかりやすく、復職も早まる可能性があるのである。そうすれば会社も休職者も双方にとって良い状況であると言える。

このようなちょっとした工夫で、安心して休職期間療養できる環境を作ることができ、ひいては休職者・会社双方にとっても良い結果につながりやすくすることができる。

メンタルヘルス対策もそうであるが、職場で一番大切なのは働く人がワクワクと働き、業績も上がるという組織作りである。そのことが企業の業績を上げる最も効率の良い投資である。そのためのある意味セーフティーネットが休職制度であり、今回のような連絡する担当者を統一するという工夫なのである。

メンタルヘルス対策は投資なのである。

そのような考えが日本中に広まればよいなと思う。


Office CPSR臨床心理士・社会保険労務士事務所 代表 
一般社団法人ウエルフルジャパン 理事
産業能率大学兼任講師 植田 健太

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