知事の政治資金の私的流用疑惑が取り沙汰されているが、職場においてもさもしい人々がいるようである。そういった事例を取り上げてみた。
社労士は見た! 職場に潜むさもしい人々

職場の物を私的利用するさもしい人々

とある知事の政治資金の私的流用疑惑が取り沙汰されている。ここまでくると、次はどんな私的流用が出てくるか、どんな言い訳をするのか楽しみにもなってくる。

さて、社労士として職場の問題の相談を日々受けるなか、さもしい人々に関する相談を受けることがある。
残念ながらそういった人々は、仕事上でもさもしい面があり、経営上の悩みの種となることもしばしば。ここではそういった事例を一部ご紹介したい。

今や、携帯電話の契約数を日本の総人口で除算した携帯電話普及率は100%を超えるそうである。
そういったなか、私物の携帯電話の充電を必ず職場で行っている従業員に関する相談があった。
業務上使用する携帯電話の充電は仕方ないが、業務上使用する必要のない人が毎日職場で充電をしているとのことである。
職場の電源も会社の財物であり、業務目的以外で使用できないのは当然である。また、これは刑法第235条及び第245条により「電気窃盗」に該当し、「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられる行為である。
携帯電話の充電にかかる費用は年間数十円位だというので、大目に見ている企業も多いかもしれない。しかし、パソコンにUSB等で直接接続し充電をしているケースだと、ウイルス感染のリスクがあるという。また、そういった行為を行っている人は、トイレには始業時刻後・終業時刻前・休憩時間外に必ず行く、残業時間は私用の時間でも1分単位できちんと残業申請する、会社の備品を持ち帰る等、徹底してさもしい行為を行っている場合が多いそうだ。
その能力をぜひ仕事に活かして欲しいところであるが、そうはいかないようだ。
また、そういった行為は、腐ったみかんのように周囲に伝染していくようである。

会社としては軽微な違反といえる行為こそ取り締まると共に、社員教育を行うことが必要である。
また、就業規則の服務規律を確認し、そういった行為が続く場合は、懲戒処分も考えてはいかがか。

地位を利用してパワハラセクハラを行うさもしい人々

 筆者が若かりし頃、数年会社員として働いていたが、執拗に内線で夜のお食事を誘ってくる上司がいた。
おじさんと食事をとる時間はない、と「今日は見たいドラマがあるので」と断っていたが、断り続けていると、突然厳しい態度となり、何かにつけ叱責を受けるようになった。
 時代は日本初のセクハラ訴訟「福岡セクシャルハラスメント事件」(平成4年4月福岡地裁判決)が起きた数年後の頃である。

セクハラを拒否されパワハラに転じるのは良く聞く話である。女性からすれば、自分の立場を利用しそういった行為をする男性はまさに「さもしい」のひとことである。
転んでもただでは起きない筆者は、セクハラセミナー等で講師をする際に話のネタにすることもあり、今となっては良い思い出(?)となっているが、もし、そういったことで悩んでいる方はそんなさもしい輩には負けないでほしいと思う。

厚生労働大臣の指針により、職場におけるセクハラを防止するために事業主が雇用管理上講ずべき措置として、以下の10 項目が定められている。事業主は、これらを必ず実施しなければならない。内容についてはぜひ確認の上、未だ実施されていない場合はぜひ実施して頂きたい。

1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発

(1)職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
(2)セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。

2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

(3)相談窓口をあらかじめ定めること。
(4)相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。

3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

(5)事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(6)事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
(7)事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
(8)再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)

4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置

(9)相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
(10)相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること。

職場におけるさもしい人々の事例を挙げさせて頂いたが、こういった行為をおこなう人は罪の意識がないことが多い。人事労務担当者としては、日常の職場環境に配慮し、そういった行為があった場合には、迅速、適切に対応していくことが大切であるといえる。


松田社労士事務所
特定社会保険労務士 松田 法子

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