居酒屋などの飲食店、コンビニなどのサービス業において、アルバイトのSNS投稿によって大きな社会的問題に発展することがある。
アルバイトの多くは悪いことをしている自覚はなく、公開範囲を限定し身近な友人・知人に見せるつもりで食べ物を粗末に扱った写真や有名人の個人情報をネット上に投稿する。

企業はこれらの安易ないたずら・悪ノリに対してどのような予防策を講じればよいのか。
「ブラックバイト」対策は大丈夫!?

採用前・採用時・採用後 それぞれでとれる予防策

いたずら・悪ノリ写真を投稿するアルバイト従業員は、LineやTwitter、FacebookなどのSNSは仲間内のコミュニケーションツールであると認識しているだろう。それ自体は決して間違いではない。
いたずら・悪ノリ写真の投稿は仲間内での単なる悪ふざけにすぎず、自らの雇用や社会的影響、会社の営業に重大な影響を与えることを想像できていない。
そのような状況下で、どのような予防策を取ればいいのか。

1. 採用前:情報収集
応募者がLineやTwitter、やFacebookなどのSNSでどのような写真を投稿していたり、どのような書き込みをしているのか、公開されている範囲であれば検索してチェックすることができる。いたずら・悪ノリ写真や先入観や偏見のある投稿をみつけることができたら、その投稿が本人なのか同姓同名の他人なのかを確認し、本人と確定した場合には、その投稿を採用の際の一つの判断基準にするのがいいだろう。
何の考えもなく個人の写真などをSNSツールに投稿している場合、インターネットセキュリティに対する知識や危機意識が不足している可能性があります。

2. 採用時:損害賠償の可能性を明記
アルバイトを採用したら、入社時に必ず誓約書を提出させる。SNSルールについては以下事項を記載するべきだろう。

① 企業に対する「迷惑行為」や「風評被害」などのきっかけになる不適切なSNS投稿を含むすべての行為を禁止する。勤務時間かどうかを問わず、企業が不利益を被る可能性のある行為を原則として禁止とする。

② 企業として懲戒処分や損害賠償請求を行う場合があることを明記する。また、その事実が退職後になって判明した場合は遡って請求したり、退職金の返還を求めることもできると明示する。

③ 「〇〇〇行為を禁止する」などと具体的に別紙にて明示する。

3.採用後:スマートフォン利用の制限
特に若いアルバイトにとって、スマートフォンは必要不可欠なのもであり、四六時中操作している人も少なくない。しかし、原則として就業時間中に私物であるスマートフォンが必要になることはないだろう。
休憩中などの使用禁止は難しいが、就業時間中はロッカーなどに保管するよう指示することとし、使用を禁止する。たとえ休憩中でも「バックルームや店内の写真撮影そのものを禁止する」などの制限をしておくことも重要だろう。

労働人口が減少しているなかで、アルバイト確保が非常に困難になってきている。
スマートフォンの使用を厳しく制限することは現在の若者にとってはストレスと感じる者も多いだろう。
しかしネット環境がこれだけ発達している現代だからこそ、軽はずみな投稿や不注意によるSNSツール上での発言を放置することはできない。

社会保険労務士たきもと事務所 代表・社会保険労務士 
瀧本 旭

この記事にリアクションをお願いします!