2016年1月より、マイナンバー制度の利用が始まります。社会保障(年金、労働、福祉・医療他)、税、災害対策の3分野で利用されることとなっており、今年の10月には個人番号が郵送されてきて、いよいよマイナンバー制度がスタートすることを実感し始めることになるのだと思われます。
求められるマイナンバー制度への早急な対応と現実!

早急な対応が求められるが、進まない企業での対応

このような中、企業ではマイナンバー制度への早急な対応が求められており、マイナンバー制度への対応方法に関すしては、社会保険労務士事務所にご相談がたくさん寄せられています。いかに担当者の方が頭を悩まされているかを肌身で感じています。
今年3月、情報セキュリティー会社が企業や官公庁の担当者計1212人にアンケート調査を実施したところ、マイナンバーへの対応が完了していないとの回答が9割を超えている、との報道がありました。

東京を始めとする大都市圏は情報量も豊富ですが、地方では圧倒的に情報量が少ないため、マイナンバー制度に対する対応方法に関しては今後、取り掛かっていくような企業が非常に多いように思われます。ましてや中小企業では、総務部門が非常に脆弱でマイナンバー制度に対応するのが非常に困難な状況です。
マイナンバーに関するセミナーでは、参加企業の方々が一様に「大変だ」「面倒だ」、場合によっては「今の総務体制では対応が非常に厳しい」などという生の声をたくさん、お聞きしています。セミナー参加企業には、「今まで全くこの制度を知らなかった。初めてマイナンバー制度の全体像が理解できたと」アンケートに書いていただいた企業も少なくありません。

特に大切な人定安全管理措置!

それでも、現実に来年1月より雇用保険の手続きや年末調整等にマイナンバーを使用するわけですので、マイナンバー制度に対応する必要があります。不正な利益を図る目的でマイナンバーを提供、盗用したりした場合などには、マイナンバー法においては懲役刑または罰金刑が科せられるなどの厳罰が用意されています。そして従業員が違反行為をしたときは、法人にも罰金刑が適用されることも用意されています。ゆえに、このようなことにならないよう、企業には安全管理措置をはかることが求められています。

マイナンバー制度への対応に関して提案しているのは、会社の実情に照らし合わせた対応を、ということです。場合によっては、一切、パソコン上にマイナンバー情報を持たないということも考えてはどうかと思います。そうすれば技術的安全管理措置を考えなくても良いということになるからです。

そして今回、特に重要なのは、人的安全管理措置だということです。取り扱い担当者に対するマイナンバー法やマイナンバーの取り扱いに対するガイドライン、個人情報保護法等に対する教育、全従業員に対してもマイナンバー制度がどのようなものであるかの説明などを通じて、人的エラーをなくすことが非常に重要なのです。


社会保険労務士  糀谷 博和

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