皆さんの周りには、売上目標に固執する残念なリーダーはいないだろうか? 特に月末へ近づくにつれて、「売上目標を達成せよ!」と意気込むリーダー。とても残念なリーダーだ。未だに売上至上主義という、旧態依然の考え方に洗脳されている典型例である。売上神話を信じているのであろう。そのようなリーダーは、売上があげれば業績がよくなると思っているし、業績がいい企業は、売上も高いと勘違いしている。
残念なリーダーほど、売上目標を立てる

※縦軸に粗利金額、横軸に営業日数を設けたグラフを使い、営業日ごとに納品ベースで粗利計上している。

 今、このコラムの読者の中にも同じような考えの方がいるかもわからないので、ここで一つ明確な事実をお伝えしておこう。それは、売上と利益との間には相関関係はないという事実だ。
「えっ!どういうこと?」

 つまり、売上をあげても利益があがる保証はない。売上をあげることと、利益があがることとは実は全く別の話なのだ。売上とは販売した結果数値である。では売上とはいったい何から構成されているのか?

 ご存じのとおり、それは販売単価×販売個数で構成されている。ここにカラクリがある。同じ売上金額だったとしても、その中身はというと、全く違うのである。単価も違えば、個数も違うのだ。だから、売上に目がいってもあまり意味がない。売上と利益との間には相関関係がないのだから!

 「売上目標を達成せよ!」と意気込むリーダーは、とても残念なリーダーだが、「粗利目標を達成せよ!」と意気込むリーダーは、優秀なリーダーといえる。売上と利益との間には相関関係はないが、粗利は利益と密接な関係がある。というのも、粗利から固定費を引いたものが、いわゆる経常利益になるからである。つまり、粗利と固定費とのバランスが重要なのだ。その本質を理解していないリーダーが多い。さらには、中小企業経営者の中にも、未だに売上至上主義を信仰している方もいるようだ!

 大切なポイントなので、もう一度いうが売上と利益との間には相関関係はないのである!したがって、リーダーが目指すべき目標は売上ではないのである。リーダーが目指さなければならない目標は、売上ではなく粗利(付加価値)総額なのである。

 粗利総額は粗利(付加価値)単価×数量で簡単に計算できる。粗利単価とは、たとえば製造業や流通業であれば、1個当たりの販売単価から変動(材料や商品仕入)単価を引くことで計算できる。それに販売数量を掛けると、粗利総額になる。

 リーダーが目指すべき目標は売上ではないのである。リーダーが目指さなければならない目標は、売上ではなく粗利(付加価値)総額なのである。ぜひリーダーには、粗利目標の立て方を学んでもらい、リーダーシップを発揮してもらいたい。

 私は、月次決算にはあまり関心がない。経営とは意思決定の連続である。そのためには、概算でもタイムリーな数字が大切だと考えている。日次決算をしないと、目標とのかい離もわからないし、月中に軌道修正する必要性の判断もできない。月次決算では遅すぎるのである。中小企業の強みは意思決定のスピードにある。その強みを発揮するためにも、日次決算にチャレンジしてみてはいかがだろうか。

 弊社では日次決算を通じて、その結果を上図のように見える(グラフ)化して粗利の目標管理を実践している。ぜひ参考にしてもらいたい。


e-人事株式会社 代表取締役・社会保険労務士 牧 伸英

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