今やビジネスにEメール(以下メール)は不可欠である。時間や場所を問わず効率的に社内外の人との連絡手段として、毎日頻繁にやり取りしている人がほとんどだろう。しかし、ビジネスにおけるメールは、そのメリットとデメリットをしっかり押さえて上手に使わないと誤解を生んだり、信頼を失ったりすることにもつながる、ある意味怖いツールだ。特にプライベートでメール等を使ったコミュニケーションに慣れている新入社員世代には、改めてビジネスメールのマナーを教育しておきたい。
新入社員に伝えたいビジネスメールのマナー~常識と非常識

 メールにはたくさんのメリットがある。
・時間を有効に活用できる
・いつでもどこでもやり取りでき仕事のスピードが上がる
・データが残るので言った、言わない、のトラブルを防ぐことができる
・使ったデータを保存して再利用できる
・同時に大勢の人に送信できる
・コストがほとんどかからない

 反対にデメリットも多い。
・読まれたかどうかわからない
・ニュアンスや意図が伝わりにくいことがある
・表情や声のトーンなど感情が伝わりにくいので誤解を生じやすい
・データが残ってしまうのでミスを取り消すことが難しい

 メールの常識としてぜひ守りたいことがある。
まず、タイトル(件名)に注意を払おう。迷惑メールと見まがうようなタイトルは避けWhat 何を、When いつHowどうしたいのかをつたえよう。例えば「4月20日の議題をお送りするのでご確認ください」などとするとよいだろう。

 本文の前に初めに宛名、挨拶、自己紹介をきちんと書くべきだ。「株式会社●●商事 営業課長 山田様」、「いつもお世話になっております」、「××社の田中でございます」など、顔が見えない分ていねいに、しかもバカ丁寧にならない範囲で記載する。

 本文の内容はわかりやすく、簡潔に、具体的に5W1H(What 何を、When いつ、Whereどこで、 Whyなんのために、 Who誰と、 Howどのように)を意識して書く。特に伝えたいポイント、間違えやすい日時や場所などは箇条書きで記載するなどの工夫が必要だ。適当な長さで改行し、適度な空白を持たせて読みやすくする。難しい漢字を減らし、また顔文字などはふざけた印象になる恐れもあるので、たとえ親しい相手でもビジネスでは使わない。本文の結びには必ず、「お手数おかけいたします。よろしくお願いいたします。」などていねいな心を込めた挨拶で結ぶ。署名は必ず入れたい。署名には電話番号を必ず入れる。電話番号が書かれていないものもあるが、メールを見たらすぐに電話をしたいときも多いはずだ。相手へのちょっとした気遣いのひとつだろう。

 そして、送信する際には必ず読み返す。次のような点に注意してさらにチェックしよう。
・To,Cc,Bccなど送信者とアドレスに間違いはないか
・相手の会社名、名前は間違っていないか
・誤字、脱字はないか
・日時、時間、曜日があっているか
・誤解を招きそうな曖昧な表現はないか
・不快感を与えるような表現はないか
・添付ファイルがある場合は漏れがないか

 メールは大変便利なツールだが、冒頭にも述べたように誤解も生みやすい。緊急のことはメールではなく、絶対に電話で知らせるべきだ。また、「謝罪」をメールでしてはならない。お詫びする場合はすぐに足を運ぶのがセオリーで、メールでは、かえって怒りを増幅する場合もあるだろう。最近では、「電話で済むことをわざわざメールするな」といった社員教育をする企業も多くなった。なんでもメールで済ませるのではなく、メリット、デメリットを把握したうえで、メール、対面、電話など使い分けていくべきである。新入社員には以上のような点を押さえたメールマナーを身につけさせておくと、取引先にも好印象を持たれ、良いビジネスが展開できるだろう。


HRプロスクール 講師 富山節子
(株式会社ブレインコンサルティングオフィス 取締役)

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