【HRサミット2016】日本最大級の人事フォーラム 5月11日・12日・13日開催!

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「有休の完全消化 義務化」で働き方改革、ほか受賞企業の取り組みを公開

〜第5回 日本HRチャレンジ大賞受賞企業講演(2)〜

株式会社テンコーポレーション 営業本部長 村松益次氏
キュービーネット株式会社 取締役兼管理本部長 松本修氏
株式会社ノバレーゼ 人材戦略部長 三木 芳夫氏

2012年にスタートしたHRチャレンジ大賞も、今年で早くも5回目を迎えました。今年は応募総数85事例の中で厳正な審査の結果、12事例が選ばれました。その中で、人材マネジメント部門優秀賞の株式会社テンコーポレーション、採用部門優秀賞の楽天株式会社、奨励賞のキュービーネット株式会社、同じく奨励賞の株式会社ノバレーゼの取り組みについて、講演をお願いしました。外国人の採用、グローバル化への取り組み、業界初の人材育成、堂々と有給休暇を取得できる環境づくりなど、各企業の新たな挑戦が詰まった講演となっています。

てんや流インバウンド戦力化の成功事例
〜現場から全社へ〜

株式会社テンコーポレーション 営業本部長 村松益次氏

現在、てんや全店の外国人従業員在籍数は365名です。昨年末は285名だったので、80名の増加ということになります。また、直営店舗は150店舗ですが、そのうちの77店舗に外国人従業員が在籍。特に、東京の山手線内店舗は採用が厳しい状況ですので、7割〜8割の店舗が外国人を採用しています。

国別就業者数分布では、中国とベトナムがそれぞれ36%です。以前は中国が圧倒的に多かったのですが、最近はベトナムが増えてきています。ベトナム人は手先が器用な人が多く、素直で真面目ですので、積極的に採用する店舗が増えています。

今回、HRチャレンジ大賞の人材マネジメント部門賞をいただいた上野店店長の取り組み事例についてご紹介させていただきます。上野店は2001年に開店。席数は30席と、てんやの中では平均的な規模の店舗です。平日はサラリーマンのお客様が多くを占めますが、土日祝日には、7割を外国人のお客様が占めますので、トータルではサラリーマンと外国人の比率が5対5とインバウンド比率の高いのが特徴です。近年では、年末年始や桜のお花見シーズンには、日本人同様多くのインバウンドが観光に訪れます。

この上野店の売上規模からすれば、従業員は20名程度必要な店舗ですが、改革を推進した店長が着任した当時は、在籍人数は10名程度。採用がままならず、また、新規採用しても定着せず、他店からの応援に頼らなければ営業もままならない状態でした。店長も休みが取れず、スタッフと共に残業が増えるなど、労働環境は悪化の一途を辿っていました。当然、業績も悪化、会社全体が右肩上がりで伸びている中、上野店は前年割れでした。 
更に、苦情件数は全店でワースト1、これ以上無い位問題が山積みでした。

そこで、店長は自立再生に向けた再構築案を作成します。期間は1年、基本軸に他店応援に頼らない店舗組織の構築、増収増益の達成を据えました。 その計画を達成するにあたり、店長はまず、外国人のお客様が50%、自店の外国人従業員も70%であり、実は親和性が高いのではないかということに着眼、今までの経験から発想を転換し、積極的に外国人従業員の採用に踏み出します。

当然、日本人と外国人従業員では、戦力化するまでの時間は大きく異なりますので、早期戦力化に向け、全員が見るワーク・スケジュールには誰に、何を教えるのか、何を教わりたいのかを書き込ませました。トレーナーは先輩従業員全員ですが、動機付けで最も重要な採用者のオリエンテーションは、店長自らが時間を掛けて行いました。また、他のツールも併用しました。例えば事務所内のホワイトボードには新商品の情報や、トラブル、クレーム事例と注意点を書き込み、誰もが読めるように、さらに、LINEなども活用して、入店前に業務で必要なことを頭の中に入れてもらう等です。これらの取り組みにより、トレーニング時間が短縮し、生産性が向上、これは収支改善にも結びつきます。また、その成果と比例するように苦情も減少しました。結果、2015年度には売上予算比105.4%、同前年比104.0%、利益予算比168.3%、同前年比114.6%を達成と今では大きく貢献してくれています。在籍人員も24名と大きく改善、その内17名が外国人です。こうして、「負のスパイラル」に陥っていた上野店は、全てが好転しました。我々は「天使のスパイラル」と呼んでいます。

このような成功事例を会社全体で取り入れ、外国人に対する距離感を縮めようと店長会議時に英会話学習を取り入れました。また、本部でも店舗支援として外国人従業員の初期集合研修を定期開催、そこでは業務の前に日本について、てんやについて理解して貰えるカリキュラムを加えています。また「外国人従業員専用のオリエンテーションハンドブック」、外国人のお国柄や国民性を記した店長用「外国人受け入れハンドブック」も作成し、採用のハードルを下げるよう工夫を凝らしました。

これらは、上野店という個店の取り組みを、全社での取り組みに広げた事例です。

最後に、かつて年間150万円ほどの採用費を投入していた上野店ですが、現在は外国人従業員が自分の友人や、留学を終え母国に帰る際、後輩を紹介してくれるので、年間採用費はゼロです。

QBハウスのスタイリスト育成の取組み

キュービーネット株式会社 取締役兼管理本部長 松本修氏

現在、全国の理美容室推移を見ていきますと、5年間で約9000施設増加。理美容室は全国で約35万店舗と言われています。コンビニの数が約5万5000店舗ですから、我々の業界はその6倍〜7倍となりますので、完全にオーバーストアな状況です。その中で、採用をしていくのはどれだけ困難なことかということはご理解いただけるかと思います。また、理美容師は国家資格が必要で、資格を持っていなければ髪を切ることができません。年間、理美容師試験に合格する人は約2万人です。それに加え、外国人の方が理美容業界の現場で仕事をするのは厳しい状況です。というのも、この業界は理美容学校に最低でも2年間、通わなければなりません。通信教育では3年間となります。それらはすべて日本語の授業です。その後、国家資格を取得するわけですから、外国人にとっては高いハードルとなっています。さらに、日本は少子高齢化が進み、人口も減り続けている中で、理美容師を集めることが難しいだけではなく、マーケットも縮小している状況です。

そうした中で、まずスタイリストを集めること、そして長く働いてもらうために離職率を下げ、定着率を上げるためにいろいろな施策に取り組んでいます。まず、弊社では毎年、500名近くを採用。募集数前期比で130%、採用数前期比で110%なので、逆風の中で効果は出ています。定着については、業界自体が年間離職率3割〜4割と言われていますが、弊社でも7、8年前まで3割ほどが離職していました。それが現在は12.5%まで改善。会社としては離職率10%を目指して取り組んでいます。

それでは、弊社のスタイリスト育成制度についてご紹介します。以前はある程度、経験がある技術者を即戦力として募集していたのですが、人が集まらない中で、未経験でも一から教えてカットできる人材を育てようと始めたのが「ロジスカットスクール」です。これは業界初の試みで、約3年前からスタートしました。ここでキーワードとなるのは、全くカットができない人に対して、研修だけを受けてもらい、給与もお支払いすることです。

このロジスカットスクールでは、2ヵ月コースと6ヵ月コースを用意。大事なのは、必ず6ヵ月で現場に立たせるということです。実は私たちの業界では、入社して3〜4年は下積み時代があり、アシスタントとしてスタイリストの手伝いをします。せっかく理美容師の資格を取っても、カットをすることができないので、その間に人間関係や待遇面などの理由で辞めてしまうことが多いのが現状です。一般の美容室では営業時間外にトレーニングをしますので、1日2時間として1週間で12時間、1ヵ月で52時間として2年間で1248時間となります。しかし、弊社のロジスカットスクールでは、研修中はトレーニングだけに集中できるので、1日8時間、1週間で48時間になり、1ヵ月208時間として、1248時間には6ヵ月で到達する計算です。

また、スタイリストとして現場に立つようになっても大きな違いが出てきます。弊社ではお客様の回転率が高いため、技術力の向上も早く、カットのみのサービスですので、技術専門性の高さも身に付きます。さらに、働く店舗、同僚のスタイリストや教育者の数も多いので、人的交流が広がるのです。その他、配属先も日本のみならず、海外も含め600店舗以上から選択が可能ですし、シニアマネージャー、エリアマネジャー、スーパーバイザー、トレーナーなど、キャリアプランを描くこともできます。

ロジスカットスクールを始めたことで、一度は理美容師の道を諦めた人が、再び夢を持って戻ってくることもあり、応募者数では30%ほど伸びましたし、採用数でも約10%増加。店舗配属者のロジスカットスクール卒業生は全スタッフの8%になりました。さらに、カット技術のみならず、経営理念からサービス業としての考えまで、人材教育を徹底することにより、生徒の会社に対するロイヤリティーが高まり定着率も上昇。明確なキャリアプランを示すことにより長期雇用・将来の主力スタッフまでの成長が期待できるようになりました。

現在、世界中にこのカリキュラムを導入しています。残念ながら、外国人が日本で働くことは厳しい状況ですが、海外で育った人たちが新しい店舗を海外で立ち上げる際に協力してもらうプランも用意しています。弊社では人材育成を重要な施策として実施し、人が育ち人が集まる組織を目指し、これからも世界一多くのお客様から必要とされるヘアカットチェーン店を目指して参ります。

有給休暇100%取得義務化

株式会社ノバレーゼ 人事本部人材戦略部 三木芳夫氏

ブライダル業界というのは、古いしきたりや習わしが強い業界です。弊社は創業時から業界の常識を疑いながら、もっと面白いことをやっていこうと考えていました。ブライダル業界・サービス業界の常識として、「長時間労働」、「深夜勤務」、「休みが取れない」、「婚期が遅れる」、「サービス残業」などが挙げられます。当然、「有給なんて取れるわけない」ということになるでしょう。日本の企業は有給の取得率が低いと海外からも指摘されています。実際、日本の有給取得率はおよそ47%です。

弊社では創業時から「しっかり働いて、かつちゃんと休みが取れる会社を作りたい」と考えていまして、「欧米人みたいにバカンスが取れたらいいね」と言っていました。弊社の場合、イタリアの企業と取り引きがありますが、イタリア人はクリスマス休暇と夏休みは1ヵ月ほど連絡が取れなくなります。それでも、事業は成り立つのです。そこで、豊かさというものを考えた時に、働きがいと働きやすさを上手く組み合わせて、企業体として成長していく。スタッフもやりがいを持って働くことができる会社にしたいと考えました。

まず、有給休暇100%取得の前に、ユニークな休暇制度も設けてきました。リフレッシュ休暇は、3年間勤めると30日間の有給休暇が付与され、自由に使ってもらって構わないというものです。他にも、アイデア休暇、記念日休暇、Rockの日など…。この中で、アイデア休暇というのは、「モナコグランプリに参戦するので休みます」とか、「ドバイの石油王と結婚が決まったので、休みを取ります」など、ユニークな理由をつけて申請してもらい、面白いと判断されればズル休みができるというものです。

これらは、できるだけユニークに休みを取りやすくすることで、堂々と有休を取得できる環境づくりに繋がると考えました。また、産業別の年次有給休暇の取得率では、弊社のようなブライダル・サービス業は30%台で、他の業界と比べても最下位。それならば、「弊社は100%を目指しましょう」と始めたのが「有給休暇100%取得の義務化」です。

そのための取り組みとして、「年初にスタッフが自分で1年間の計画とともに有休のスケジュールを登録する」、「四半期に一度、取得状況を全社員に回覧する」、「半期末ごとの評価時に上長についてはスタッフが有休を取れなかったらマイナス査定の実施」を行いました。これらの取り組みを行うポイントとしては、「情報の共有化と効率化」と「ゲーミフィケーション」が挙げられます。

情報の共有化と効率化のためには、「誰でも皆の仕事が分かる仕組み作り」、「情報共有のため社内SNSを活用」という2つの手法を取りました。具体的には、普段の仕事は顧客のやりとりを含めてチャット形式にして全員で共有。顧客管理についても5W1Hをシステムに残すことでタイムラグがあっても誰でも対応できるようにしたのです。

ゲーミフィケーションについては、社員全員が前向きに有給を取得したいと思ってもらわなければいけないので、取得状況をランキング化して全社で比較できるように周知しました。これにより、ゲームに参加する感覚で有給消化率を確認できるようにしたのです。

その結果、義務化する前は44.1%だったのが、お試し期間に77%まで増加し、最終的には91%まで増えました。この取り組みの良かった点は、ブライダル業界では休みが取りづらいとされてきましたが、それが解決されたことにより、優秀なスタッフが残っていくことです。また、女性スタッフが多い会社ですが、産休からの復職率も100%となりました。やはり、これらは人事の施策ですので、一気通貫でやっていくことがポイントだと思います。

村松益次氏

株式会社テンコーポレーション
営業本部長
村松益次氏

国内外で天丼・天ぷらを提供する飲食チェーンを展開する「天丼てんや」(株式会社テン コーポレーション)に1990年入社。店長、エリアマネージャー、営業部長を経て、店舗運営から商品開発・マーケティング業務に携わる。2013年取締役営業企画・本部長に就任、現在に至る。


松本修氏

キュービーネット株式会社
取締役兼管理本部長
松本修氏

2004年当社入社。8年に渡るQBハウスの海外展開の統括を行っていた経験から、理美容業界において、人材育成が要となることを実感。5年前の帰国後、海外での技術・接客研修を逆輸入した「無料社内カットスクール」の立ち上げに携わると同時に、労働環境の改善のため静脈認証による出退勤管理システムも導入した。


三木 芳夫氏

株式会社ノバレーゼ
人材戦略部長
三木 芳夫氏

1981年生まれ 2005年、潟mバレーゼに新卒3期生として入社。 人事本部にて採用、教育に従事し、京都地区ゼネラルマネージャーを経て現職。 全スタッフへの面談を実施し、新たな人事施策を展開している。