採用を論理化する ~人事データを最大限に活かすピープルアナリティクスの実践~(後編)

 シェアNo.1 ERP「COMPANY」、人工知能型ERP「HUE」を提供する株式会社ワークスアプリケーションズは、企業経営において人材採用を最重要課題と位置付けている。
 2002年から行っている独自のインターンシップをはじめ、世界中の優秀な人材を求めて海外採用も積極的に行う等、年間約8万人の学生が同社に応募する。精力的で先鋭的な採用活動を続ける同社が求める人材とは。そして人事データ分析を行うことで見えてきた方向性と未来とは。
prof株式会社ワークスアプリケーションズ
リクルーティングDiv. シニアヴァイスプレジデント
矢下 茂雄 氏

大学卒業後、株式会社リクルート(現:株式会社リクルートキャリア)に入社、企業の人材採用に関するコンサルティングを行う部門に配属。広告営業・商品企画等の部門を経て、就職情報サイト「リクナビ」のセールス事業部門の責任者の一人として活躍。約2000社の既存顧客の取引拡大、約500社の新規顧客を獲得する実績を残す。2007年、楽天株式会社に入社。日本最大の就職活動SNS「みん就(みんなの就職活動日記)」の事業責任者として、サービス改革、セールス部門改革を実施し、事業の黒字化と成長軌道への変革を実現させる。それらの経験を活かし、2015年4月株式会社ワークスアプリケーションズに参画。採用業務に特化したリクルーティング部門にて責任者を務め、国内外の優秀人材の採用戦略の指揮を執る。
株式会社ワークスアプリケーションズ ホームページ


prof_higuchiレジェンダ・コーポレーション株式会社
採用支援事業部 副部長
樋口 新

大学卒業後、新卒で大手流通企業(CVS)に入社。店長経験の後、スーパーバイザーとして神奈川県下のメインエリアを統括、計80店舗の業務改革、売上UPに貢献する。5年後、レジェンダ・コーポレーション株式会社へ入社。以降、一貫して企業の採用活動支援を行う。顧客企業の業界は多岐に渡り、採用戦略・施策設計、セミナー設計・運営、面接代行、バックオフィス運用まで幅広く担当。年間3000名規模の新卒採用、エージェントを利用しない中途採用、SNS広告によるパートアルバイト採用等、難易度の高い採用のプロジェクトマネジャーを歴任。現在副部長に就任。データに基づいて採用活動の効率化・最適化を目指す、人事データ分析サービス「データインサイト-R」を開発し各企業へ提供している。


ハイパフォーマー人材の選考時データの特徴

樋口:ハイパフォーマー人材の選考時のデータとしてどのような評価項目に相関が出たのか、可能な範囲で教えていただけますか?

矢下:インターン時、面接時、研修時等における様々な要因のデータを照らし合わせて分析をしましたが、例えば自律性や協調性といった個別のスコアとパフォーマンスの相関性がわかってきました。相関関係がある項目がわかることも大事ですが、相関関係がない項目が明らかになったことも一つの成果だったと。これは評価項目の見直しにつながっています。

 現状としては、いくつかの項目をぶつけていけば、研修で高いパフォーマンスを出す人は、こういう属性の人たちであるという仮説、“教師データ”は作れています。来年はその中に経年データを追加していくことで検証していこうと考えています。今回は、そのベースとなるスタディができたことが良いことだと思います。

 HRテックは、理由をきちんと考えて、深堀りして答えを見つけて、どんどん広げていくものですよね。例えば特定の学校・学部出身者はマネジャー昇進の確率が高いというような、データから導き出される根拠を基に考察を加えていく。この地道な作業の繰り返しが重要かと思います。

樋口:いち早く人事データ分析に着手された企業として、人事データ分析を行う中で問題になったことや、分析を行う前にクリアにしておいた方が良いこと等アドバイスはありますか?

矢下:やはり難しいなと思うのはインジケーターアーキテクトです。つまり、どういう形式でデータを取得していくか、ということと、取得時のデータの正確性を上げていくことです。

 われわれのケースでは、今回のデータ分析をきっかけに評価項目をできる限り数値化することで、経年比較やデータ形式にとらわれないスコア補正をやりやすくしました。


どこよりも最先端、世界一のリクルーティングチームへ!

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樋口:人事データを活用して、これからさらに取り組んでいきたいことは何でしょうか。

矢下:弊社には新卒採用で世界から年間8万人のエントリーがあります。そのエントリーデータを解析していけば、どういう人たちが“優秀”なのかという傾向が可視化できるはずです。データドリブンを実践していきながら、どこに“原石”がいるのか、強い仮説を持ってアクションを起こしていきます。

 また、弊社が開発している「HUE」は企業の基幹業務、つまりヒト・モノ・カネ・情報を統合的に効率的に管理し、経営判断のスピード化を実現するプロダクトです。ヒトに関しては、エントリーマネジメントからタレントマネジメントまでを提供しています。そういう意味でも、弊社も率先してそれらに取り組み、採用時のパフォーマンスと昇進昇格、評価等から人材育成や人材配置等をメソッド化して、プロダクトに反映させていければと考えています。データが取れていて、このレイティング手法さえ開発できれば、どう人を配置すれば良いかは出てくるはずなんです。

 採用はヒューマンタッチにこだわりたい。そのうえでミスマッチをどれだけゼロに近づけられるのか。
 ――これは採用部門にとって共通する永遠の課題でしょう。事業現場を加速させられる人材を送り出すというのが私の部門の使命でもありますし、一方で学生に対しても、弊社に合わない場合はきちんと伝えなければいけない。それを、データを用いることでより精度高く行うことができるのではないか。たとえ能力が高くて優秀でも、入社先の選択を間違えてしまう人もいるわけで、それは限りなく減らしていきたいですね。

樋口:最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか。

矢下:大きなスケールで考えると、ただ単に優秀な人だけをアセスメントするというところだけに置かずに、2000年代前半から弊社が日本の企業の中で先んじて実施したインターンシップによって、日本の就職活動を変えようとしたように、第二、第三と弊社が先陣を切って、日本人の働き方やキャリア開発のあり方を変えるっていうことをやりたいですね。

 また、世界一のリクルーティングチームを作りたいです。テクノロジーを活用して新たな採用の形を生み出し、人と人とのヒューマンタッチも含めてどこよりも最先端、世界一でありたいと思います。

※この記事はレジェンダ・コーポレーション株式会社『想い切りトーク』に同時に掲載しております。