時代は変わった!?いざ、働き方の改革を!

「働き方の改革」に取り組む企業が増えている。
「働き方の改革」に取り組むにはどうしたらよいか。また、気をつける点はあるのか。

働き方の改革とは

近年、ダイバーシティの推進、従業員の心身の健康確保、ワーク・ライフ・バランス等の観点から、「働き方の改革」が注目されている。
「働き方の改革」とは仕事の見直しを積極的に進め長時間労働を是正し、経費の削減、従業員の健康保持、業務効率(生産性)の向上につなげる考え方である。実際、「働き方の改革」に取り組み、業績を向上させている企業もあるようだ。

上記理由以外でも、近年の人材獲得難により、採用時の企業アピールの為、給与のみならず労働時間や休日日数等、労働条件の改善を含む「働き方の改革」に取り組む企業が増えていると筆者も肌で感じている。
従来通り長時間労働は当たり前、という企業だと、人材の獲得が難しい時代になったのだ。
しかし、「働き方の改革」といっても、どう取り組めばよいかお悩みの企業も多いのではないだろうか。

厚生労働省は「働き方・休み方改善ポータルサイト」を設け、そこで「働き方・休み方改善ハンドブック」を4業種別に公開している。
業種毎の特徴を踏まえ作成されてあるのでとても参考になると思うが、どの業種においても取り組む際に共通するポイントとして、以下が挙げられる。

1. 経営者の意識改革
「働き方の改革」に取り組む場合、まず、経営者の意識改革が必要である。経営者が現状に問題を持っていないと、現場だけで働き方を変える、というのは難しいものである。まずは、経営者が問題意識を持ち、方針や目標を従業員に明確に示し、リーダーシップを発揮し、取り組む必要がある。

2. 現状把握
「働き方の改革」に取り組む前に、自社の現状把握が必須である。長時間労働となっているのは、人が原因か、仕事に原因があるのか。業務や無駄の洗い出し等、自社の実態を的確に把握することが大切である。

3. 改善推進の体制づくり
「働き方の改革」は企業の状況に合わせ継続して見直しが必要になってくる。検討委員会の設置や定例会議等の開催をし、継続して取り組んでいく体制づくりが必要である。時間削減や業務効率化の為に時間や費用が必要となってくるが、これについては「コスト」ではなく、「投資」として捉えていきたい。

4. 改善促進の制度化、仕組みの構築

2.によって改善する点が明確になれば、取り組むべき課題も明確になってくる。制度の導入として取り組みやすい例として以下が挙げられる。
① 変形労働時間制の導入
月間や年間の繁閑がはっきりしている場合は、変形労働時間制の導入をし、繁忙期の時間外労働時間を削減することも可能である。

② 年次有給休暇の計画的付与制度の活用
有給休暇のうち、5日を超える部分については、労使協定によって時季を決めて付与することができる。この制度を積極的に活用し、閑散期に有給休暇が取得できるようにすることも可能である。また、年間の有給休暇カレンダーを作成し、従業員同士が互いに時期を調整し合いつつ、有給休暇を取得できるようにすることもできる。
年次有給休暇については、平成28年4月から、従業員に年5日の年次有給休暇を取得させる義務を企業に課すよう、現在審議中なので、併せて対応を考えておきたい。

③ 深夜勤務抑制と朝型勤務の推奨との取組
例えば夜8時以降の残業を原則禁止としたり、始業時刻前の勤務を推奨するのも長時間労働削減には有効である。

④ 業務フローの改善
業務の効率化には従来通りの業務のやり方で問題ないかメスを入れる必要がある。業務の無駄や効率化できるところがないかをみつけ、新たな業務フローを作成するのも効果的である。

⑤ 人材育成
人に問題がある場合、それを改善する仕組みづくりも必要である。定期的に研修やセミナーに参加させる等し、従業員各自の業務効率化も図る必要がある。

「働き方の改革」の落とし穴

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残るのは、変化に対応できる者である。」とダーウィンが言ったとされているが、変化が著しい世の中、経営においても変化や時代に対応できないと取り残されてしまうという危機感を持つ必要があるのではないだろうか。

「働き方の改革」において、2014年春より株式会社資生堂は、育児等の理由から時短勤務で働く美容部員にも、遅番や土日勤務を促すようになった。この方針転換は、時短勤務で働く女性社員が増えすぎたため、売り場に必要な数の美容部員を配置できず、機会損失や、他の美容部員に不満が生じてしまったということが背景にあったようである。「資生堂ショック」と巷では言われており、従来の流れと逆行するような状況に賛否両論あるようだ。

当職も「全員が短時間勤務希望をした場合、経営が成り立たないがどうしたら良いか」と切実な悩みを経営者から受けることもあり、各企業の状況に併せて「働き方の改革」をしないと、折角の改革で苦しむ結果になる場合もある。
まずは、各企業においてできる範囲で「働き方の改革」に少しでも取り組んでみて頂きたい。

松田社労士事務所
特定社会保険労務士 松田 法子

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