人事ビッグデータの活用による課題の「見える化」と効果的な施策が、 経営における人事の役割を飛躍的に高める。

海外の企業では今、タレントマネジメントや人材育成、人材採用などに、人事のビッグデータ活用が盛んになりつつある。人材が最も重要な経営資源であり、その効果的な活用が企業の生産性や、ひいては経営に大きく影響することが共通認識となっているからだ。これに対して日本の企業の動きは鈍く、人事のデータ活用のほとんどは給与計算など旧態依然とした領域に留まっている。そこでこの分野の先端的な研究を推進する気鋭の研究者と、ビッグデータ活用を支援する企業に、人事ビッグデータの活用とはどのようなものなのか、どのようなメリットをもたらすのか、そのために人事はどう取り組めばいいのかなどについて語り合ってもらった。
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株式会社無限 取締役 業務本部長
藤井 伴巳氏

2001年より、経理として入社。当時より経営課題の解決のため、経理的立場を通じて社内の改善を行う。2009年から現職。管理部門にて、人事、法務、財務、経理、購買、マーケティングの統括を行っている。現在、社内人事制度の改革に力を入れている。

株式会社無限 SI事業部 プロジェクト推進室長
青田 智樹氏
2002年より大手シンクタンクにて銀行、GMS、コンビニエンスストアのシステム開発の現場でマネージャー職を歴任。転職を経て2015年4月より現職。前職でのビジネス課題・業務課題をシステムで解決してきた経験を活かし、現場担当者がBIツールを用いてデータ活用と改善のアクションを起こせる仕掛け作りの提案を行っている。


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慶應義塾大学大学院 経営管理研究科 特任教授
岩本 隆 氏

東京大学工学部金属工学科卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)工学部材料学科Ph.D.。日本モトローラ株式会社、日本ルーセント・テクノロジー株式会社、ノキア・ジャパン株式会社、株式会社ドリームインキュベータ(DI)を経て、2012年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)特任教授。


なぜ今人事ビッグデータの活用が注目されているのか?

藤井:岩本先生は企業の戦略コンサルティングを数多く手がけられ、現在は経営学の領域で産業プロデュースを研究されていますが、人事ビッグデータの活用に興味を持たれたのはなぜでしょうか?

岩本:経営学というのは科学的な根拠に基づいた体系化がまだあまりできていない分野なんです。人工知能等を用いた統計学的なデータ分析手法というのは色々ありますが、根拠のある体系を作り出すには、そうした分析手法を使ってビジネスの最前線のデータを分析し、知見を蓄積していく必要があります。私がいくつかの企業と共同で人材マネジメントの研究を行い、プログラムを開発し分析を行ったところ、非常に興味深い傾向が分かり、高い評価をいただいた。そこから人事ビッグデータの活用に強い関心を持つようになりました。

青田:人事のIT活用は昔からありましたが、給与計算といった単純な領域に限られていて、生産性向上など経営に関わるような領域での活用はごく最近のことです。

岩本:海外ではすでに人事ビッグデータの活用がビジネスとして盛り上がっていて、HRテクノロジーのベンチャーに数十億、数百億円といった巨額の投資が行われています。人材の育成・活用といった人に関わる分野は、かつては経験と勘に頼っていて、技術と距離がありましたが、技術が進化したおかげでその距離が縮まってきました。ITにとって「人」は最後の未開拓領域と言ってもいいでしょう。


人事データ活用の立ち後れが目立つ日本

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藤井:今、日本は2020年に向けてグローバル化を進めていこうとしている最中で、働き方も在宅勤務や外国人登用などによって急速に変化・多様化しつつあります。ところが人事データは未だに給与計算レベルに留まっていて、こうした変化をとらえて有効な施策に活かすことができていない。もっとリアルタイムで変化をとらえるには、SNSの活用による社内コミュニケーションなど、これまでとは違った取り組みが求められているという気がします。

岩本:トヨタではSNSをグローバルに活用していますね。人の発言の質やセンスといったことまで見えてくるので、従来型のデータでは補足できなかった社員のポテンシャルを発掘できるというメリットがあるようです。

藤井:しかし日本の企業にはSNSの発言を会社に管理されることに違和感を覚える人がまだ多いようですね。

岩本:カルチャーの違いでしょうか。欧米ではみんな積極的に参加しますが、日本人は消極的な人が多いと言えます。

青田:海外では仕事=ジョブと考え、達成したことへの対価を意識しますが、日本では仕事を労働時間やがんばりで測る傾向があります。これが生産性の低さなど、日本企業の立ち後れにつながっているような気がしますね。

岩本:そうしたカルチャーの違いを考えると、データ分析ツールも欧米と日本では変える必要があるかもしれません。たとえば海外では発言する人が優秀と見なされるのに対して、日本では大人しい人が意外に優れた考えを内に秘めていたりします。文化に合ったツールが必要ということですが、日本の文化に合ったツールはまだあまり開発されていません。


人材の評価・配置・採用などに活用される海外の人事ビッグデータ

青田:海外の人事ビッグデータは、実際にどんな用途で活用されているんでしょうか? たとえば全般的な人材の評価なのか、プロジェクトにおける最適な人材のアサインなのか。

岩本:企業全般としては人材評価や人材配置に活用するケースが多いですね。
ベンチャー企業の場合は採用での活用が多いです。一般に公開されている情報からデータをとることができるので、分析がしやすいというのもありますし、ニーズがあるのでベンダーも力を入れてサポートしているということもあるようです。

藤井:海外の企業ではタレントマネジメントをサポートするシステムが盛んに活用されていますが、こうした分野でのビッグデータ活用はどこまで進んでいるんでしょうか?

対談はまだ続きます。
ビッグデータの活用方法や、人事データ活用のポイントなど、気になる内容の続きはこちらよりダウンロードください。

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