人工知能で会社が変わる!?

人工知能が囲碁で勝利

この3月、人工知能が世界的に有名な囲碁棋士に勝利して話題になった。対戦したのは、グーグル傘下のグーグル・ディープマインド社が開発した人工知能の囲碁ソフト「アルファ碁」とイ・セドル(李世乭)九段。勝負はアルファ碁が3連勝、その後イ・セドル氏が一矢報いたものの、結局、4勝1敗でアルファ碁の圧勝に終わった。

イ・セドル氏は囲碁の世界タイトルを18回も獲得して世界最強といわれている棋士だ。そのイ・セドル氏に人工知能が圧勝したのだから、囲碁界のみならず、全世界に衝撃が走った。

ちなみに、人工知能とボードゲームのプロとの対戦の歴史は囲碁だけではない。1997年に米国IBM社の開発した「ディープブルー」がチェスの世界王者に勝利。将棋の世界でも2013年以降、複数のソフトがタイトル獲得経験のある棋士を何度か破っている。

最近、人工知能の話題が多い。たとえば、日本経済新聞社が主催する文学賞「星新一賞」に人工知能の書いた小説の応募があった。「星新一賞」はSF作家・星新一氏にちなんだ賞で、2013年に新設されたもの。理系的発想を問う賞とされ、人工知能による作品も受け付けている。

第3回となる昨年の応募作品は合計2561編で人工知能による作品は4編。もちろん審査員には人工知能による作品であることは伏せられた。結果はというと──、最終候補には残ることができなかったものの、そのうち何編かが一次審査を突破したのだ。完全に人工知能が書いたというわけではなく、プロットは人工知能、文章は人間など、人間と人工知能の共同創作だが、一昔前には考えられなかったことだ。

ほかには人工知能がレンブラントの「新作」を描いたことも話題になった。346点に及ぶレンブラントの全作品を3Dスキャナを使ってデジタル化、人工知能に作品の特徴を分析させ、「レンブラント風」の作品を書かせたのだ。出来上がったのは黒い服、白い襟飾、帽子姿の白人男性の絵。これはレンブラントの作品で最も一貫性のある題材という。筆遣いや色合いなどにもレンブラントの特徴が入っていて、新作が発見されたといわれれば、ほとんどの人が信じてしまいそうな仕上がりぶりだ。

人工知能が人事にも使われる

進化が加速している人工知能だが、我々の身近なところでも使われている。スマホの入力がそれだ。使えば使うほど、変換効率化が上がり、入力が楽になる。会社のシステムにも人工知能が組み込まれるようになった。世界初の人工知能搭載ERP(統合基幹業務システム)として注目を集めているワークスアプリケーションズの「HUE」がそれだ。人工知能が企業内に眠る膨大な業務ログを解析・学習して、行うべき業務を先回りして完了してくれたり、欲しい情報を先回りして提示してくれたりするという。

このような人工知能を搭載したERP、近い将来、採用や昇進にも活用されるかも知れない。アメリカでは、企業内の会話を人工知能に分析させ、組織のキーマンを見つけ出すという研究が行われている。社員に小型の装置を付けてもらい、声のトーンが肯定的か否定的か、受け答えの時間はどうかなどのデータを集めたところ、業績はパッとしないにも関わらず、居ることによって組織を活性化させている人物を見つけることができたとか。

もちろん、何もかも人工知能任せにすることはできない。最終的に判断するのは人間ということになる。しかし、日常業務はもちろんのこと、会社の舵取りも人工知能抜きには考えられない日がすぐそこまできているのかも知れない。

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