「圧迫面接」とは、意図的に答えにくい内容の質問を投げかけて、威圧的な反論をすることで、受験者がどのような受け応えをするかを評価する面接のことをいいます。

面接者が意地悪で行っているのではなく、応答に対して突っ込んだ質問をしたり否定をすることで、受験者のストレス耐性を試しているのです。答えに窮する質問や、ムカっとくることを言われた時に、受験者がどのような反応を見せ、どう切り返してくるかを見ているのです。

頻繁に用いられる質問には、「あなたの話し方は印象が良くないですね」や、「成績が良くないですね」というように、受験者を怒らせるようなことを言う場合があります。受験者が感情的に反論してくるのか、不快感をあらわにするのか、うろたえるのか、それとも冷静にソフトに返してくることができるのかが試されています。

また、「あなたは当社には向いていませんね」や、「もし当社が不採用だった場合はどうしますか」と不採用をほのめかす質問をすることもあります。このような場合は、受験者がパニックを起こしていないか、必死に自らの短所を否定しようとしていないか、萎縮して黙り込んでしまっていないか、それとも落ち着いて誠実に返すことができるのかを見られています。また、「私はそう思わないよ」や、「君はこの役職に向いてないね」と受験者の発言に対して否定を繰り返す場合もあります。言葉に詰まることなく、適切に切り返すことができるのかを見られています。

そして、「残業も休日出勤もあって大変なポジションだよ」や、「あなたが思っているほどこの仕事は格好よくないですよ」と脅しをかけてくる場合もあります。これは、応募した職種に対しての覚悟ができているかの確認と、その仕事の実態に対する理解度を試されています。面接者は表情、声のトーン、仕草、目の動き、といった受験者の全てを見ています。実際に仕事に就けば困難な状況に陥ることは多々あるでしょう。その際、落ち着いて臨機応変に適切な対応ができる人間か否かを圧迫面接で判断しているのです。

1990年初頭から1995年頃まで盛んに行われてきた圧迫面接は、昨今では「人格否定だ」、「人権侵害だ」、「セクシュアルハラスメントだ」、「パワーハラスメントだ」、と非難されるようになったため、悪い風評が立つのを恐れた企業が相次いで圧迫面接を主体とする採用活動を自粛するようになりました。このように、企業イメージを傷つける恐れのある圧迫面接ですが、受験者の本音を見るために選考の最終段階で用いるケースはあるようです。よって、しばしば、圧迫面接をされることは企業が受験者を高く評価し、見込んでいるということの表れであると理解され、受験者にとってチャンスであるという考え方もあるようです。