「ジュニアボード制(Junior Board of Directors)」とは、社内で選抜した若手社員や中堅社員によって構成される擬似的な経営委員会を設置し、経営におけるさまざまな課題に関して解決策の提言を行わせる仕組みのこと。

次世代の役員候補の育成手法として、従来から知られていますが、一般的な研修プログラムとは異なり、本来の役員会と連動して実際に自社が直面している経営の課題に取り組み、提案を行うため、メンバーの経営参画意識が醸成されるほか、若手・中堅社員のフレッシュで斬新な意見を経営の活性化や改革に役立てることができるメリットもあります。

ジュニアボード制は、1932年にアメリカの香辛料メーカー、マコーミック社が始めたプログラムだといわれています。日本の企業でも、30代の若手社員によるジュニアボード制を発足させたユニ・チャームや横河電機、日本総研の事例が知られているほか、多くの企業が制度を導入しています。

ジュニアボード制を実施するにあたっては、まず、メンバーの責務や条件、任命方法、会社がジュニアボードに諮問するテーマ、定員、任期など、ジュニアボード制の規定を定める必要があります。続いてはメンバーの任命ですが、勤続年数や年齢の条件を定め、自主的に参加を希望する社員の中から、上長の推薦やレポート審査などを経て任命する場合が多いようです。運営がスタートすると、月に1回程度などのペースでジュニアボードを開催し、会社から諮問されたテーマについて討議し、決められた期日までに提言書を作成して会社に提出することになります。

制度の導入による成果を上げるためには、ジュニアボードからの提言を会社が真摯に受け止め、できる限り実際の会社の施策に反映させることが重要です。例えば、事業改革の提案が行われ、実施が決定された場合、ジュニアボードのメンバーの希望に応じて任期終了後に該当する事業部に異動させ、実際に事業改革に携わらせることができれば、将来の経営幹部候補として高い経験値を積ませることができるでしょう。また、ジュニアボード制を実践し、成功に導くために不可欠な要素が、経営トップの次世代リーダー育成に関する深い理解とコミットメントであることは言うまでもありません。