頭文字を取って「RPA」と略される「Robotic Process Automation」は、ルールエンジン、機械学習、人工知能などの認知技術を活用し、主にホワイトカラーの事務業務を代行・代替する仕組みのこと。職場で人間に代わり、もしくは補完的に業務を行うことから、デジタルレイバー(Digital Labor)、仮想知的労働者とも呼ばれます。

人間が行っていた業務を代行するロボットは、生産現場の業務では従来から広く普及していましたが、RPAはその範囲をホワイトカラーの業務に拡大し、オフィス業務の生産性を一気に向上させる技術として、近年、世界的に脚光を浴びています。日本では、今後の生産年齢人口の減少による人手不足をカバーする役割も期待され、RPAへの企業の関心は高まっています。

RPAの仕組みは、ソフトウェア(ソフトウェアロボット)がPCの画面上のアプリケーションやウェブブラウザ、社内システムなどの画面を識別し、人間と同じように操作を行うというもの。人間が行う業務の手順を登録するだけで、さまざまなアプリケーションを横断的に処理できることが特長です。

例えば、顧客データベースから氏名や連絡先などの情報を社内システムにコピー&ペーストして登録するといった作業を、RPAは人間に比べて圧倒的な速さでミスなくこなします。金融会社などのオペレーションセンターで、数十名のオペレーターが行っていた業務をRPA1体とオペレーター数名で回せるようになったといった事例もあり、コスト削減やミス防止などの効果に期待が集まっています。

RPAの技術が進むと、オフィスの定型業務は人間が介在せずにRPAだけで完結し、さらに、現在は人間の判断が必要になる非定型業務についても、やがて自動化される時代が来ると予測されています。2025年までに全世界で1億人以上の知的労働者、もしくは3分の1の仕事がRPAに置き換わるともいわれます。RPAは今後、企業における人材の採用や育成、配置のあり方を大きく変えていくと考えられます。