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新卒者の選考で重視する能力

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2017年03月03日

3月1日、2018年卒業の学生の就職活動がスタートした。まずは説明会だが、実質的には選考も始まっていると考えられる。ところで、企業はどのような能力を持った新卒者を求めているのだろうか?

経団連が毎年実施している「新卒採用に関するアンケート」では、選考にあたって特に重視した点を調査している。会員企業に25の選択肢から5つ選んでもらい、多数を占めたものから順に示す方式である。

2015年度の調査(2016年4月入社対象)でのベスト5は以下の通りである。

① コミュニケーション能力 85.6%

② 主体性 60.1%
③ チャレンジ精神 54.0%
④ 協調性 46.3%
⑤ 誠実性 44.4%

「まあ妥当な結果ではないか」というのが多くの人の認識だと思う。これらは新卒者というよりは、社員全員に求めるものだろう。だからこそ新卒者にも求めるわけだが。

筆者も経営者や幹部に、社員に求める人材要件を尋ねることがあるが、上記項目はよく耳にする。特にコミュニケーション能力は、業種や規模、社風にかかわらず、ほとんどの方が指摘する。

ちなみに10年前の2005年度の調査(2006年4月入社対象)では以下の通りとなっている。

① コミュニケーション能力 75.1%

② チャレンジ精神 52.9%
③ 主体性 52.5%
④ 協調性 48.7%
⑤ 誠実性 39.1%

ベスト5の項目に変化はなく、これらは現代の企業が欲しがる人材の定番要件といえよう。

その他、2015年調査を10年前と比較すると、

●6位以下の占有割合が低下していること(特に、6位責任性37.7%→6位27.4%、7位ポテンシャル30.6%→8位20.8%)
●その中にあって、論理性(9位21.1%→7位27.2%)とリーダーシップ(12位16.1%→9位20.5%)が上昇していること

などが特徴的だ。論理性やリーダーシップの重要性が高まってきたのは、素直に言うことを聞く受け身の学生よりも、自分から発言し、他者に影響力を及ぼすような能動的な学生が、より求められるようになったということだろうか。ただ、協調性も変わらず高い評価を受けていることから、「私が私が」というタイプではなく、メンバーを気遣いながらチームをまとめるようなタイプが望まれているとも考えられる。

コミュニケーション能力については、この10年で10ポイント高めており、さらに重要性が増しているといえる。ちなみに15年遡って2001年をみると、1位ではあるものの50%ほどで、チャレンジ精神と拮抗していた。以降、大きく伸び、他の項目と差がつくようになったのは興味深い。

なぜ、コミュニケーション能力が重視されるようになったかを考えると、その背景には、

●仕事の高度化・複雑化や社員の多様化により、「あうんの呼吸」で仕事を進めることが難しくなったこと
●社会の変化やIT化で人間関係が希薄となり、コミュニケーションの重要性がかえって高まったこと
●顧客ニーズの多様化や競争の激化により、多様な人を相手にする必要があり、説明や説得の機会が増えたこと
●かつてのように誰もが懸命に働く時代ではなくなり、社員のモチベーションに配慮する必要性が高まったこと

などがあるのではないかと思う。

コミュニケーション能力の重要性が高まっているのは確かだが、留意したいのは、それだけに長けていても仕方ないということだ。コミュニケーションとは自分の考えや思いを相手にわかりやすく伝えることであり、「自分の考えや思い」に価値があることが前提となる。まずは、ベースとなる常識や知識、そしてそれらに基づく自分なりの軸を持たなければ、コミュニケーション能力は宝の持ち腐れになると考えるべきだろう。

選考者はそこまで見抜くことができればよいが、単に喋りがうまい学生を評価しがちではないだろうか。喋りは拙くても、自分なりの考え方をもった原石をふるい落とさないようにしたいものである。

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