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順調に育った新人が、2年目に急に辞める…人事が知るべき“2年目の孤独”

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2015年11月13日

※本コラムは株式会社リクルートキャリアのReCoBook(レコブック)公式ブログから転載です。

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皆さんは、「2年目の孤独」という言葉を知っていますか?

スポーツ界でよく使われる「2年目のジンクス」をなぞらえた表現で、弊社で長年、採用・人材育成の責任者を担っていた者が使っていた表現なのですが、新人・若手の育成のポイントを考えるうえで重要なキーワードだと感じたので、今回はこれをテーマにしたいと思います。


■2年目の孤独とは

入社1年目の新人は周囲の関心が高くフォローも手厚い。また、入社3年目というタイミングも節目とおいている企業が多く、入社3年目を対象とした階層別研修やキャリア面談等の施策を行っています。

一方で、1年目と3年目の狭間となる2年目に対しては、人事や職場から関心が低くなったり、研修や面談の機会もなくなり、周囲の関わりが手薄になる。その結果、必要以上に不安や悩みを一人で抱え込み、孤独感を感じやすくなる…1年目は順調なようにみえたが、2年目で急につまずいてしまうという状態も起こりやすいのです。

新人のフォローを目的としてリリースしたサービス「ReCoBook」に対しても、実は「2年目の社員から使いたい」という声を頂いています。「1年目は手厚くフォローしているから大丈夫。しかし2年目になると急に停滞する。」というわけです。

■2年目社員の「生の声」を聞きました

周囲にいる2年目社員は、このような状態になっていないでしょうか?
身近なところで、弊社の2年目の社員に話を聞いてみました。


<システム担当 ~認められていると思う一方で…~>

2年目となり、仕事の状況をいつもフォローしてくれていたサポーター(OJT担当)がつかなくなりました。1年目の頃は、サポーターに仕事内容・進め方のアドバイスや支援をきめ細かく受けていましたが、今は一切なくなっています。仕事のアサインも先輩と一緒のことが多かったのですが、いろいろなプロジェクトに一人でアサインされることも多くなりました。一人前として認めてもらっていることの証かと思う一方で、急に責任が重くなり、プレッシャーも大きく感じました。一人でアサインされた仕事では、システム部門の代表として意見を問われることが多く、自分の意見が全て反映されていくことに不安を感じることもあります。

それと、1年目では導入研修の一環として同期と週1回集まる機会があり、自分の成長度合いや全体の中での位置を確認できましたが、今は自分が順調に成長できているのかわからなくなってきて漠然とした不安があります。同期がどれだけ仕事をできるようになっているのかは、気になります。


<営業担当 ~気持ちを言える機会が減った~>

1年目は同期の多くが同じ部署に配属になっていて、毎日一緒に飲みに行ってストレス発散していました。2年目になって、それぞれ別の部署に配属となったため、同期との交流機会はほとんどなくなりました。

仕事の面でも、任されることが増え期待の高さを感じます。目標達成や顧客への対応レベルも10年目の先輩と同じレベルで求められていると感じます。数字や顧客案件の会話が中心となり、できて当たり前という状況です。もちろん期待には応えたいと思い努力していますが、まだ2年目だし、なかなか期待に応えられない自分にもどかしさを感じる場面もありますが、自分の気持ちを周囲に率直に伝える場面も少なくなりました。単純に周囲と会話する量が減っていると感じます。

上司とは週1で面談しているものの、効率的に案件の相談をすることを求められるため、「もやもや悩んでいることを話してスッキリする」という場はなくなりました。


■1年目から2年目の、知られざる“変化”

2名のケースではありますが、いずれも1年目から2年目という転換にあたって、大きな3つの変化がありました。

1つ目は、仕事の成果に対する期待の高まりです。一人前として扱われ、期待水準は年次の上の先輩たちと同等になるということです。仕事を任せる側としては、2年目になったのだから当たり前だよねという感じで、仕事をボンっと任せていると思いますが、受け手としては相当なプレッシャーを感じている状態です。

2つ目は、周囲のサポートやフォローが圧倒的に減少するということです。急に補助輪が外れ、一人で頑張れという状態になる。しかし、本人は補助輪を外して自転車に乗った経験は無く、とても不安定でおぼつかない状態です。

3つ目は、同期とのつながりが薄れることです。不安や悩みの解消相手として同期を頼るケースもあるようで、同期との接点が少なくなることへの寂しさを感じているようです。

幸い弊社の2人の2年目は、「2年目の孤独」を感じつつも、たくましく成長している状況ではありますが、2年目も新人同様に大きな変化があることは、認識しておくべきだと思いました。

■2年目の“急なつまづき”を防ぐためにできること

1年目、2年目それぞれで「人事ができること」があるのではないかと考えています。
まず、1年目の終わりには、フォロー研修や面談を有効活用するのがおすすめです。期待が大きく高まることともに周囲のフォローが少なくなることへのセルフマネジメント力の強化など、2年目になるにあたっての必要なインプットもあわせて行ってみてはいかがでしょうか。

2年目には、フォローが必要といっても全員に対してずっと手厚くフォローをするわけにもいかないでしょう。1年目・2年目、と年次ごとに機械的にフォローの必要性を見極めるのではなく、1年目を終えるにあたって、立ち上がり状態が気になるメンバーについてのみ、継続的に状態を確認することがおすすめです。

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