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権限委譲の必要性とポイント

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2014年10月17日

いろいろな会社にお邪魔する機会があるが、「そんなことまで経営者が決めるのか?」とか「そんな仕事は課長がやらなくても部下に任せればいいのに・・・」と思うことがよくある。

こと権限移譲に関しては、民間よりは公務員の世界の方が進んでいる気がする。
自治体では、制度づくりや研修の実施などを係長や主任といった非役職者が中心となって進めることが多い。もちろん、決定権は上司にあるので、意思決定に時間がかかったり、後になって議論がひっくり返ったりして、支援する側からするとデメリットもあるのだが、職員育成の観点に立てば実のある経験を積んでいると思う。

上位者が下位者の作業に手を出したり、細かな点に口を出したりするのは、上司の性格もあるが、会社のルールや体質によることが大きい。職務権限規程で定められていたり、失敗しないことが最優先されるような風土であったりするのである。

風土はともかく規程は変えればよい。ただ、そのような古い規程を見直そうとしても、「今までそうやってきたから」「任せたいのは山々だが人材が育っていない」「何かあったら困る」と、多くの場合、改訂には腰が重い。
エンパワーメントという言葉が組織マネジメントのキーワードとして使われるようになって久しいが、なかなか進んでいないのが実情のようだ。

しかし、これまでと同じ職務権限でやっていくことは、すでに限界が生じている。

1つは、一般社員といえども、定型的なことだけをやっていればよいというのどかな時代ではないからだ。特に顧客と直に向き合う必要のあるサービス業や営業職においては、競争力の有無に直結する。いちいち上司に伺いを立てないと商談を進められないのであれば、スピーディな対応もできず、とうてい高レベルの顧客満足は得られないからである。

もう1つは、社員のモチベーションの問題である。権限が委譲されることで、自分の裁量で仕事ができる範囲が広がり、大きなモチベーション要因となるからである(それゆえ、自分の裁量が狭まることが面白くない上司は権限移譲をしないのかもしれないが)。

もちろん、やみくもに権限委譲すればよいわけではない。無謀な委譲は、いたずらに組織を混乱させるだけで、期待する効果よりもデメリットの方が大きくなる。

権限委譲にあたって重要なのは次の2点。

① どの職位にどのような権限を与えるのかを明確にすること
② きちんと義務・責任を果たせる人に委譲すること

①については、職務権限規程などを作成して役職と権限・責任の関係を明確化することが求められる。すでに作成をしている企業では、改訂を行い、周知をする必要がある。こうすることで、社員の自覚を高められるからだ。
中小企業では、職務権限規程など不要というところもあるだろうが、主な職務だけでも権限・責任の所在を整理しておきたい。

②は、能力・地位に見合わない過大な権限委譲は、判断ミスの増加や権利の濫用を招く恐れがあるということだ。場合によっては、会社の信用や顧客の信頼を失墜させるような事態にも発展しかねない。

ただ、だからといって無難な方向に収めていては、組織も社員も成長できない。これについては柔軟な姿勢が必要となる。
すなわち、経験や能力が多少不足していると思われる人材であっても、長所を積極的に評価し、登用していくことが求められる。よく言われるよう「ポストが人を育てる」の実践である。
特に、大企業のように多数の中から優秀な人材を選抜するのは困難な中堅・中小企業では、必要な考え方となるだろう。
当初は混乱が起きるかもしれないが、これも会社を強くするための痛みととらえ、経営陣自らが率先して権限委譲していく姿勢を示すことが重要である。

ただし、

① 報告はしっかりと行ってもらう
② この点だけは気をつけてほしいという留意事項を明確にして引継ぎを行う
③ 委譲当初は重点的なフォローを行う

以上については励行すべきである。
こういったバックアップ体制をとることで、重大な事故発生をかなりの程度防げる。委譲直後は緊張感があってトラブルも起きにくいのだが、しばらくして自信が芽生えてくる頃が危険なので、特に注意深く見守ってほしい。権限移譲といっても、すべて丸投げしてしまうことではないのである。

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